当事者の人権擁護こそ 全商連が集会と会見「滞納解消最優先」改めよ|全国商工新聞

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当事者も参加して行われた社会保険料の不当徴収事例の告発集会

 全商連は会見に先立ち、「社会保険料の不当徴収事例告発集会」をオンライン併用で開催。厚労省の事業管理課を含め56カ所で視聴されました。
 全商連・社会保障部会の久保田憲一部長・常任理事があいさつ。「この間の厚労省要請では『至らない点があれば、資料を全て取り寄せて確認し、責任を持って年金事務所を指導する』と回答した。これも足掛かりに取り組みを強め、強権的徴収を是正させよう」と呼び掛けました。
 牧伸人常任理事が主催者報告。「『差し押さえ』などの強制徴収は、国民の財産権を直接侵害する重大な権力の行使」と述べ、それだけに「『国税徴収法』は滞納処分に当たって当事者の人権を擁護するため、十分な期間を取った事前の周知や生活費、給与、福祉関連の給付などの差し押さえ禁止財産を定めている」と指摘しました。
 昨年4~9月の差し押さえ件数は2万6265事業所に上り、日本年金機構が2010年に発足してから最多の3万3142事業所(19年度)を超える勢いで急増(図2)。「その背景に、年金機構が23年に入り『滞納解消が最優先』となるよう事業計画書を変更したことなどがある」と指摘。「コロナ禍に猶予を受けた事業所への総点検を年金事務所に示し、”それまでの2倍、3倍の保険料を払え”と矢のような催促を行い、廃業に追い込んでいる」と告発しました。「厚労省が『保険料徴収にかかるガイドライン』などを策定し、年金事務所の職員に国税徴収法の趣旨に沿った対応を促すとともに、小規模企業振興基本法の付帯決議にある小企業・中小事業者の保険料の負担軽減や経済的事由による減額・免除の制度化を急ぐべき」と提案しました。
 税理士の角谷啓一さんは「納税の猶予の国税庁『取り扱い要領』を”武器”に、換価の猶予を求めることが大事だ」と発言。特定社会保険労務士の加藤深雪さんは「社会保険料の減免制度創設や納付猶予期間の延長、応能負担への転換を行うべき。このままでは『社保倒産』が一層拡大する」と警告しました。

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