「『裏金』議員に課税せよ」―。全国商工団体連合会(全商連)は2月26日、自民党の裏金議員への追徴税額試算を公表し、衆院第一議員会館で、国税庁に対して「自民党国会議員への調査と課税に関する要請」を行いました。直後の記者会見と併せて、マスコミでも大きく取り上げられ、反響が広がっています。
試算は、自民党が実施した「全議員アンケート」で政治資金収支報告書への不記載が判明した85人について、個々の不記載分(裏金額)を課税対象として計算。5年間の各年分の所得税と重加算税(40%を適用)、住民税を合計した追徴税額は、1億3533万7920円となりました(下図)。
岡崎民人事務局長は「中小業者には厳しい税務調査が行われる一方、課税対象の所得を得ながら、使途も示さず、申告・納税しない政治家を野放しにするなら、税務行政に対する信頼は失われ、納税意欲にも悪影響が及びかねない」とし、自民党ぐるみの巨額脱税事件への厳正な調査と課税を行うよう国税庁に要請しました。
庁側は「一般の納税者と国会議員に区別はない。課税上、問題があると認められれば、税務調査を行うなど適正公平な課税の実現に努める」と回答。全商連は、巨額の使途不明金である「政策活動費」についても、政治活動に使われたことが明らかにできず、使いきれなかった残金は課税対象となることから、同様に調査・課税するように要請しました。
同席した立正大学特別研究員で税理士の浦野広明さんは「国会議員の必要経費は歳費などで賄われており、記載されていなかった全額を雑所得として計算し課税すべきだ」と指摘。「政治資金パーティーの主催は、政党支部や後援会などの法人であり、パーティー収入の8~9割のもうけを上げている収益事業だ。法人税や消費税も課税されるべきだ。弱きをくじき、強きを助ける税務行政は変えなければならない」と強調しました。