各地の年金事務所で、「『内規で分納は3回まで』と無理な納付を迫られた」「換価の猶予申請を拒否された」など社会保険料の強権的な徴収が横行し、民主商工会(民商)への相談が相次いでいます。全国商工団体連合会(全商連)は1月22日、厚生労働省に徴収業務の是正を求め、当事者を含む14人が訴えました。
全商連の牧伸人常任理事が①「3回払いしか認めない」とする「内規」の有無②財産調査の進め方③年金事務所の徴収に関する裁量―などを確認しました。
省側は「東京都内の年金事務所が主張している内規は存在しない」「財産調査は国税徴収法にのっとって行うように指示している」「徴収の最終的な決定権は年金事務所の所長にある」と回答。個別事例の請願書を受け取り、年金事務所や日本年金機構に内容を確認した上で、民商を通じて報告することを約束しました。
東京都内で美容施術院を営む男性は「コロナ禍で融資を受けて生き抜いてきたが、お客が減少し、支払いが滞るようになった。年金事務所に『内規で分納は3回まで』と言われたり、営業時間に4人が店に押しかけ、金庫やレジから現金100万円を回収された。年末の差し押さえはショックだった」と述べ、「換価の猶予の説明もなく、民商と一緒に猶予申請書を提出した時も『通るかどうか厳しいですよ』と言われた」と告発。「『分納は3回まで』の内規が無かったと知って、だまされたという思いだ」と怒りをにじませました。
神奈川県の法人企業は「未払いや仕事のキャンセルで入金が無くなり、社会保険料が5カ月分払えなくなった。10月に差し押さえ通知が届き、年金事務所に相談したが、『一括で払うか、差し押さえかの二択だ』と言われた。換価の猶予申請書は受け取りを拒否された。数少ない取引先にも、差し押さえ通知を送付され、取引先を失った。『事業性を損なわない範囲で行う』という国税徴収法の趣旨からも、厚労省の回答からも逸脱している。支払う気がある事業者をつぶすようなことはしないでほしい」と訴えました。
岩手・一関民商の相談事例は請願書として提出し、後日、回答を得る約束をしました。
要請には、日本共産党の宮本徹衆院議員秘書、小池晃参院議員秘書が同席しました。