来年1月から、2年間の猶予が終わり、完全施行される電子帳簿保存法(電帳法)。「全部の書類を電子保存する必要があるの?」など、多くの中小業者が疑問を持つ中、各地の民主商工会(民商)は学習会を開き、不安解消に向けた取り組みを進めています。
「スキャナ保存」必要?
渋川北群馬民商は11月22日、電帳法とインボイス学習会を開催し、14人が参加しました。「群馬計理」の清水耕治税理士を講師に、前半の電帳法では「電子取引」について学習。事前に寄せられた質問に答える形で進めました。
「領収書は紙でもらうが請求書はメールで届く場合はどうしたらよいか」「電子保存は何年間必要か」などの質問に対し、「紙は紙で、データはデータで保存」「個人は5年間、法人は10年間の保存が必要」「帳簿の電子保存や紙のスキャナ保存は任意」などと回答。電子取引データの保存では「猶予措置により、人手不足などの理由があり、かつ税務調査の際に、電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出の求めに応じるようにすれば単純な取引データの保存でよい」と説明しました。
インボイス制度の学習会では、参加者から「値引きや振込手数料」「ETCクレジットカード払い」「家賃支払い」「自動販売機でジュースを買った場合」などの仕入税額控除に関する質問が寄せられました。
ETCクレジットカード払いでは「利用明細書と利用証明書の保存が必要」。自販機では「購入した場所の住所(◯◯市までで十分)をメモしておくことが必要」といったルールを聞き、「複雑すぎる」「なんでこんな面倒なことに対応しなくちゃならないのか」と怒りの声が。
狩野哲夫会長=鉄工=は「電帳法は税務調査のため、インボイスはさらなる増税のための布石だ。中小業者をいじめる制度はやめさせるよう、署名などに協力を」と訴えました。
猶予措置活用も視野に 新潟・新津民商
新潟・新津民商は11月8日、民商事務所で電帳法学習会を開き、10人が参加しました。
データ保存が必要となる電子取引の場合でも、新たに整備された猶予措置が認められれば、単純なデータ保存で、請求書類の紙での保存が認められることや、認められない場合でも、事務処理規定と電子データの管理など、幾つかの注意点に気を付ければ対応できることなどを確認しました。
参加者からは、電子データとして保存する対象についての質問や「取引先別でなく、月別に保存管理してもいいのか」などの質問が出されました。インボイスの実務も複雑で、電帳法の実施と合わせて、「煩雑な実務ばかり増えていく」と、不満の声が上がりました。