強行された消費税のインボイス(適格請求書)制度は、免税事業者への取引停止や10%分の値下げ要求、「ネコババ」などの誹謗中傷を引き起こし、インボイス登録事業者や経理担当者に煩雑な実務を押し付けています。各地の民主商工会(民商)は、廃止を求める署名を持って商店街を訪問対話したり、業種別の対策相談会を開いています。
商店主から不安と怒り 広島・尾道民商 署名とリーフで訪問対話
広島・尾道民商は11月26日、本通商店街(尾道市)で「ガソリン税凍結、消費税減税、インボイス制度廃止を求める請願」署名と全国商工団体連合会(全商連)のインボイス対策リーフを持って訪問する「インボイスアクション第2弾」を実施。太田泰嗣会長=建設、小川浩作理事=製造販売、飯田秀都理事=農業、武田愛治理事=建設、吉岡毅事務局長が参加しました。「お困り事があれば民商へ」と声を掛けながら30軒と対話し、署名17人分を集めました。
商店街周辺を宣伝カーで回り、「インボイスは直ちに廃止!物価が上がり続ける今、消費税減税を行うべきです」などと音の宣伝も行いました。
対話では「インボイスは登録していない。今は免税事業者になっているのに、消費税を再び払うようになったら、しんどい」「お客の誰からも番号のことは言われない」との声があった一方、高齢の店主は「みんなにならって登録したが、インボイスのことがよく分からなくて心配」との不安も出されました。
他の店主からは「岸田首相に早く辞めてもらわないと困る」など政治への不満も出されました。
参加者は「対話すると、インボイス制度が十分に理解されていないことが、よく分かる」「継続した訪問対話が必要」と感想を出し合いました。
実務の不安にも応えて 長崎・佐世保民商 業種別に相談会
長崎・佐世保民主商工会(民商)はこの間、サービス業、建設業などと業種別に消費税インボイス(適格請求書)制度の対策相談会を開催しています。
11月17日はサービス業者を対象に開き、6人が参加しました。
全員が免税事業者で「インボイスは登録していない」という状況です。参加者から「銀行の振込手数料に関して、よく分からない」「知り合いから『インボイス登録しても、相手から消費税をもらっていない場合は、申告をしなくていいのか』と相談されたが、どう答えたらいいのか」などの質問が出されました。
全国商工団体連合会(全商連)発行のリーフレットや商工新聞の記事などを活用して、みんなで話し合い、理解を深めました。
同20日には建設業者の4世帯5人が参加。「取引先3社から『登録番号を教えて』というファクスが送られてきた」との発言に、「うちにも」との声が。「長年一緒に仕事している外注先が登録していないが、どうしたらいいか」との質問に、みんなで意見を出し合いました。
この日の参加者は全員が登録事業者ということもあり、請求書・領収書の記載要件や「2割特例」「8割控除」について学び、実際の消費税負担額なども確認しました。
両日とも参加者は全商連リーフを複数持ち帰り、取引先や知り合いに配って、「インボイスは、消費税率15%や20%のさらなる引き上げの準備手段」と訴えることになりました。