「2割特例」など周知を 全商連が国税庁に徹底求め|全国商工新聞

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 10月から開始された消費税のインボイス(適格請求書)制度を巡り、各地で免税事業者への取引停止や10%分の値下げ強要などが頻出しています。全国商工団体連合会(全商連)は11月22日、国税庁にヒアリングを実施し、インボイス導入に伴い新たに課税事業者になった事業者に対する「2割特例」の活用や初めての消費税申告などについて、丁寧な周知を徹底せよと求めました。
 インボイス登録に伴い、免税事業者から新たに課税事業者になった事業者が、2022年に「消費税課税事業者選択届出書」を提出していた場合、2割特例が使えず、来年の消費税申告では2023年10~12月(3カ月分)分だけでなく、1年分(1~12月分)の消費税申告が必要となります。これは「インボイス実施前に課税事業者を選択していた」とみなされるためです。
 こうした事業者が2割特例を使いたい場合には、今年12月31日までに「消費税課税事業者選択不適用届出書」を税務署に提出する必要があります。
 ヒアリングでは、2割特例を使えない対象事業者に対し、「不適用届出書」で取り下げできることを丁寧に周知徹底するよう要請。庁側は「9月以降、選択届を出した全員に電話や書面で周知している」と回答。
 新たに課税事業者となった多くの事業者が来年初めての消費税申告を迎えることを考慮し、消費税申告や2割特例に関わる情報を周知するよう求めました。庁側は「ダイレクトメールで消費税申告が必要なことや2割特例の案内を行う」と回答。一方で、「e―Taxを推奨しており、申告書は送付しない」としたため、重ねて申告書の送付を要求。「事業者からの求めがあれば、送付する」との回答を引き出しました。

インボイス不要なら登録取り消しを 12月17日まで

 取引先や税理士の言うがままにインボイス登録をしたものの、主な顧客は事業者ではなく、一般の消費者が大半という事業者から「インボイス発行の必要性を感じない」との声が上がっています。インボイス登録の取り消しは、いつでも可能です。ただし、来年1月1日から登録を取り消したい場合は、今年12月17日までに届出書を提出する必要があります。

取り消さない場合2024年分も納税

 インボイス制度実施によって消費税の課税事業者になった場合で、12月17日までに取り消しの届出書を提出しなかった場合、2023年10~12月分の消費税申告に加え、24年分の消費税の申告・納税を求められるので、ご注意ください。

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