北海道商工団体連合会(北海道連)は11月12日、「北海道税金問題研究集会」を開催。札幌会場に25人が参加し、道内の民主商工会(民商)など10カ所以上からウェブ接続し、100人が参加しました。
谷川広光副会長=建築板金=が開会あいさつ。「『春の運動』で税務相談停止命令の創設に負けない、自主計算・自主申告運動の強化を」と呼び掛けました。
「納税者の権利保障と国際的な動向」と題し、立命ちか館大学の望月爾教授(日本租税理論学会事務局長)が講演。主要各国で制定されている「納税者の権利憲章」を紹介し、税務行政の国際標準は、権力作用ではなく、納税者を「お客さま」として「サービス」を提供する「納税者サービス」として位置付けられていると強調。全国商工団体連合会(全商連)が10月に発表した「納税者の権利憲章」(第3次案)が、台湾が2017年12月に施行した「納税者権利保護法」に類似した、憲法を主軸にした内容であることに注視。「日本においても、まずは国際的な『ミニマム・スタンダード(最低基準)』である納税者権利憲章の制定・導入を行うことが急務」と訴えました。東京高裁が8月に判決を出した「税務調査結果の説明を欠く課税処分の違法性」や「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)」を紹介し、「今後の運動への糧に」と呼び掛けました。
大阪・豊中民商常任理事で税理士の田中一喜さんが「インボイス・電子帳簿保存法の実務と運動の展望」と題し、消費税インボイス(適格請求書)、電子帳簿保存法(電帳法)について解説しました。自身の税務署員時代の話も交えて、国税庁のインボイスや電帳法導入の意図を指摘。税務相談停止命令について、「自主計算・自主申告(納税)は誰も否定できない租税制度の大原則」と強調し、民商の相談活動のさらなる発展と悪税反対運動の強化を訴えました。
パネルディスカッションでは、旭川民商会長でもある谷川副会長、札幌中部民商の笹岡強士副会長(59)=行政書士、帯広民商のHさん=建設鉄工=が活動を報告。谷川さんが所属する支部で進めている「事務局員が参加しない支部役員だけで対応する税金相談会」について、「どうやってできたのか」との質問に対し、「一緒に税金学習をする仲間の役員をつくる」「とりあえず挑戦することが大事」と回答。来年の「春の運動」に向けて、それぞれの組織における「税金相談活動」へのイメージをつくる機会となりました。