岸田文雄政権は10日、2023年度一般会計補正予算案(約13.1兆円)を閣議決定しました。2日に発表した総合経済対策の財政的裏付けとして月内にも押し通す構えです。
補正予算案には、石油元売り企業への補助金、先端半導体や次世代半導体の開発・製造のための基金など特定大企業を支援するメニューが並びます。敵基地攻撃能力の保有につながるスタンド・オフ・ミサイルの整備費まで盛り込まれています。辺野古新基地建設やマイナ保険証の利用促進、大阪万博の推進など世論に反する項目も含まれます。
財界とアメリカの要求を最優先し、民意に背く税金の使い方を許すわけにはいきません。
低所得世帯への7万円給付に使われる1兆592億円は地方創生臨時交付金に含まれる重点支援地方交付金として措置されます。自治体による物価高対策など同交付金による中小業者向けの「推奨事業」分は5千億円に過ぎません。
一人4万円の所得税・住民税の減税に必要な財源は補正予算ではなく来年度の本予算に計上し、6月実施の予定です。深刻さを増す中小業者・国民の苦難解消には、あまりに少なく遅すぎます。
そもそも国の予算は、内閣が会計年度ごとに国会に提出し、審議を受け、議決を経なければなりません(憲法86条)。補正予算が提出できるのは、法律上または契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算編成後に生じた事由に基づいて、①特に緊要となった予算の追加を行う場合②予算に追加以外の変更を加える場合―に限られています(財政法29条)。
岸田政権が編成した補正予算案には、「成長力強化・投資促進」3.4兆円、軍事費を潜り込ませた「安全・安心確保」4.2兆円など、「特に緊要」とは考えられないものや、使われ方が不透明で単年度主義に反する「基金」が多数盛り込まれています。8.8兆円もの国債で財源を確保することも問題です。
憲法と財政法に反し、財政を悪化させる亡国の財政運営は直ちに改めなければなりません。消費税減税など、即効性があり、物価高から生活と営業を守るための補正予算こそ必要です。