フリーランスの会調べ
岸田政権が1日から強行実施した消費税インボイス制度。実施直前の9月30日までの登録取り下げ・失効件数が、分析を始めた昨年6月末からの累計で2万1820件に達しました。8月末~9月末までの取り下げ・失効件数(単月)は7837件に急増し、これまでに最大だった6月末の3997件を大幅に上回りました。「STOP!インボイス」(インボイス制度を考えるフリーランスの会)が、国税庁のデータを基に分析しました。
民主商工会(民商)や全国商工団体連合会(全商連)、STOP!インボイスなどの集会やデモ、宣伝などで、インボイス制度や消費税の問題点が周知され、メディアも取り上げ始めた結果、取り下げ件数が急増したものと見られます。
取り下げ件数は、国税庁が公表しているインボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトのデータを基に、当月と前月のデータを比較し、インボイス制度の登録取り下げ・失効件数をカウントしています。この中には、廃業、合併、企業統合などにより登録番号を失効したと考えられる件数も含まれています。
国税庁の発表によると、8月末時点のインボイスの登録件数は約356万件となっています。
実態に即した対応 分析した後藤隆さん(フリーランスの会・仮名)
「STOP!インボイス」が呼び掛けたオンライン署名は、制度実施後も広がり続け、10日現在、55万人分を超えています。
官邸前アクションなど、「STOP!インボイス」による取り組みや、各地での宣伝や集会、これらを扱ったメディアの報道を通して、多くのフリーランスや中小事業者、国民がインボイスの問題に気付き始めました。
取り下げ件数の急増は、こうした下で、インボイス登録をした事業者の間で「やっぱり、やめよう」という思いや「経過措置の間は、様子を見てもいいのではないか」など事業実態に即し、地に足のついた検討が広がった結果です。政府側から、デメリットも含めた”丁寧な説明”があれば、土壇場で登録を取り下げる事業者が、これほど出ることにはならなかったのではないでしょうか。
この事実に、政治家、メディアは厳しく向き合ってほしい。制度実施後、多くの中小事業者やフリーランス、経理担当者が問題に直面し、各地で混乱が起きています。
インボイスは、少なくとも、いったん止めて、立ち止まる。現場の混乱を検証ほころし、制度としての綻びがあるのであれば、勇気を持って「中止・廃止」の決断を。