「インボイス直ちに廃止を」 各地で宣伝、意見書提出|全国商工新聞

全国商工新聞

10・1全国から怒り 宣伝デモ

 「岸田政権が、反対世論を無視して強行した消費税インボイス(適格請求書)を直ちに廃止させよう」―。各地の県商工団体連合会(県連)と民主商工会(民商)はインボイスが導入された10月1日、宣伝やデモを行い、怒りの声を上げました。

バス車窓から声援も 岩手・北上、盛岡民商など

20人が横一列に並び、通行人の目を引いた盛岡各界連のスタンディング

 岩手県では、盛岡市と北上市の両消費税廃止各界連絡会(各界連)が街頭宣伝。
 北上市では、北上民商会員ら9人が「さくら野百貨店」前で宣伝を行い、署名34人分を集めました。「インボイスは、弱い者いじめの制度。売り上げ1千万円以下の業者から税金を搾り取る制度」との声が寄せられました。
 盛岡市では、交通量が多く、大型店が集中する市内のバイパスでスタンディング宣伝。県連と盛岡民商の役員を中心に
 20人が参加しました。ハンドマイクでリレートークを行い、県連の関沢淨会長=自然エネルギー普及=は「インボイスは税率を上げない消費税増税だ。原材料などが高騰する中での増税は大量の廃業を招き、地域経済を失速させる。今やることは、インボイスではなく、消費税減税」と訴えました。20人が横一列に並んでのスタンディングは目を引き、車から手を振る人やマイクロバスの窓を開けて「頑張ってください」と声を掛ける人もいました。

業者淘汰路線許さず 京都・中京民商など

「インボイスや消費税の廃止まで頑張ろう」などと訴えた京都デモ

 京都府商工団体連合会(京商連)の久保田憲一会長=飲食=や福山和人弁護士らが呼び掛け人となった「インボイス制度は即時廃止を!消費税5%に戻せ!京都デモ」が100人の参加で行われ、中京民商から10人が加わりました。京都市役所前で宣伝した後、四条河原町までデモ行進。「いますぐやめようインボイス」「インボイスは廃止」「消費税廃止」「大好きなお店を守ろう」などとコールしました。
 久保田会長は「政府も自民党も受け取りを拒否したオンライン署名54万人超を、世論の力で受け取らざるを得ないところまで追い込んだ。実施された今日から、トラブルや苦情が噴出する。紙とオンラインの署名をさらに広げよう」と訴えました。
 立命館大学の松尾匡教授は「コロナ禍で”中小業者は生産性が低いから淘汰しよう”との政策が強まった。その手段として、消費税インボイスがある。何とか持ちこたえ、インボイスや消費税の廃止まで頑張ろう」と励ましました。

子や孫にも影響する 京婦協

35人が参加した京婦協の四条烏丸の交差点での宣伝

京商連婦人部協議会(京婦協)は京都市下京区の四条烏丸の交差点で、怒りの宣伝を35人で行いました。
「インボイス制度いらない中止を!」の横断幕を掲げ、十河恵美子会長=イラストレーター=が描いた「国民から税を吸い尽くしたドラキュラ」「税を求めてさまようゾンビ」「お助け民商マン」のイラスト入りチラシを配布。観光客らが足を止め、チラシを受け取っていきました。
十河会長と北民商婦人部の熊田美智恵部長=装飾品=が掛け合いでスピーチ。「今日からインボイス制度が始まりましたが、どう思います?」「もう、かないませんわ。自分ところの問題だけではなく、物価高騰などで一般の人も大変になる。岸田さんに言いたい。もう、お辞めになったらどうですか?」「もう商売やめよかなと言っている人もいます。街に商店が無くなったら、お年寄りはどうしたらいいのって思います」「やっぱり廃止しかないですよね」「子どもや孫にも影響してくるから私は反対なんです」「消費税は大軍拡の財源となり、戦争への道につながる。許せないですね。皆さんも署名にご協力ください」
大阪から来た夫婦は「買い物する時に大変になるね」「みんなが大変になる」と話していました。

配布したチラシ

ガソリン税は凍結を 広島北民商

好反応だった「ガソリン税の凍結を!」のプラカード

 広島北民商は、広島市安佐南区緑井の交差点で、インボイス反対やガソリン税凍結などを訴える「インボイスアクション」に取り組み、久村守会長=電気工事=ら11人が参加しました。「インボイス制度が強行される日に訴えたい」と急きょ決めたもの。
 大型商業施設三つに挟まれた交差点で、行き交う車や買い物客に横断幕やプラカードを掲げ、マイクでアピールしました。
 広島県連と民商の副会長、横畑政文さん=内装工事=が「廃業するしかなくなった業者の厳しい状況を伝えたい」と自前の原稿を用意し、訴え。大手家電量販店のロゴの入った車から、下請けの電気工事業者と思われる人が窓を開け、「賛成です」と大きく手を振り、拍手する姿も。プラカードでは「物価高対策ガソリン税の凍結を!」が特に好反応でした。
 役員も気持ちを込めて訴え、「今までより反応が感じられた」などの感想が出されました。

9月議会で意見書次々

 岸田文雄政権が10月1日に導入した消費税のインボイス(適格請求書)制度。実施直前の各地の9月議会では、民主商工会(民商)や消費税廃止各界連が提出した「実施中止」「延期・見直し」を求める陳情・請願を採択し、国に求める意見書を可決しています。

“預かり税”に堂々反論 埼玉・本庄民商=神川町

(左から)川浦まさこ議員、民商の関根英子副会長、野澤孝義会長、金澤利行副会長

 埼玉県神川町では9月14日、本庄民商が提出した「インボイス制度の実施延期を求める意見書の提出を求める請願書」を賛成8、反対2の賛成多数で採択しました。請願書は、川浦まさこ議員(共産)が紹介議員となり、提出したもの。
 同8日の総務経済常任委員会には、民商の野澤孝義会長=設備、金澤利行=鍼灸治療院、関根英子=不動産=両副会長らが参加。野澤会長が趣旨説明し、中小業者に対する影響などを詳しく説明しました。
 委員からの「預かった税金は払うのは当たり前じゃないか」「払えないなら、サラリーマンにでもなればいいのでは」などの質問に対し、”預かり税”ではないと反論。「安く請け負いながら技術を磨く若手業者など、インボイス制度がこれから必要な人材を排除してしまう」などと解き明かしました。

継続審議が一転採択も 青森・五所川原民商=板柳町・深浦町

 青森・五所川原民商が担いた当する板柳町と深浦町で、同民商が提出した「インボイス制度の実施延期を求める陳情」が9月議会で採択され、国に対する意見書が可決されました。すでに五所川原市、鯵ケ沢町でも同様の請願・陳情が採択されており、担当する7自治体のうち4自治体で採択されました。
 板柳町では、民商が6月議会に提出した陳情が継続審議となり、改めて9月議会で採択されたもの(9月8日)。
 深浦町では9月15日に、民商が提出した陳情が採択されました。

「強行なら損失大きい」 鳥取・米子民商=境港市

採択を喜ぶ(右から)米子民商の西田美津子婦人部長、安田共子市議(共産)ら

 鳥取県境港市は9月27日、米子民商が提出した「消費税インボイス制度の実施中止を求める陳情」を賛成8、反対6の賛成多数で採択し、国に対する意見書を可決しました。
 採択に先立ち、総務民教委員会で民商の滝根崇事務局長が意見陳述。インボイス制度について「このまま制度を強行することによる被害の大きさは、延期中止した場合の損失よりはるかに大きい」と指摘しました。
 北栄町では同19日、米子民商が提出した「消費税インボイス制度の中止を求める請願」は「実施直前に中止を求める意見書は上げられない」と不採択に。一方、インボイス制度を考えるフリーランスの会(「STOP!インボイス」)が提出した「インボイス制度の延期・見直しを求める陳情」が採択され、「国に対してインボイス制度の見直しを求める意見書」が全会一致で可決されました。

市議も「生活できない」 熊本・宇城民商=宇土市

 熊本県宇土市では9月21日、宇城民商も加わる消費税廃止宇城各界連絡会が提出した「インボイス制度の実施延期を求める意見書を政府に送付することを求める請願書」を本会議で採択しました。福田慧一市議(共産)が紹介議員となり、提出したもの。
 これに先立つ経済・建設常任委員会(同12日)では、米屋を経営する市議から「インボイスが導入されると農家に『登録を』とは言えない。かと言って、すし屋などへの値上げもできないので利益を削るしかない。そうなると生活ができない」との発言もありました。
 請願書の採択を受けて「インボイス制度の実施延期を求める意見書」が賛成16、反対1(反対は公明のみ)で可決されました。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから