「インボイス実施延期・中止を求める意見書」 各地の6月議会で次々と採択|全国商工新聞

全国商工新聞

宮城県松島町
塩釜民商の請願で初 アンケートで実態示し

松島町での意見書採択を喜ぶ塩釜民商会長の千葉藤男さん

 宮城県松島町議会は6月12日の本会議で、「消費税のインボイス制度の実施延期を求める意見書」を賛成多数(公明党も含む賛成11、反対2)で採択しました。塩釜民主商工会(民商)の担当地域で、民商が請願して採択されたのは初めてです。
 昨年12月、担当地域の七ケ浜町で、共産党議員の働き掛けにより採択。それ以降、多賀城市(1月31日)と塩釜市(3月13日)で、インボイス延期の請願書が、それぞれの委員会で審議されましたが否決されました。
 塩釜市の総務教育常任委員会に出席した民商の久保恵美婦人部長は「議員たちは、私たちの話をよく聞いてくれたのに、否決は残念だ。理解してもらうには、深刻な影響をもっと知ってもらう必要がある」と役員会で報告しました。
 松島町議会には2月20日、今野章町議(共産)が紹介議員となって提出。総務経済常任委員会で「インボイス制度延期」請願書が審議されることになり、4月10日の同委員会に、民商の鈴木正義事務局長らが出席して説明。インボイス制度の概要や業者に与える重大な影響、申告期間に会員から集めた「インボイスに関するアンケート」の結果などを紹介しました。
 質疑応答では、委員から「インボイス制度を勉強するため、町の商工会へ行ったが、税務署の学習会の日程を渡されただけだった」「今の説明でインボイス制度の内容が分かった」、「農業をしているが、インボイスが始まったら、大変だ」などの声が続出。委員会で賛成3、反対2で可決され、その後、本会議でも意見書が賛成多数で採択されました。

青森県鯵ケ沢町
担当地域で二つ目 五所川原民商 意味大きい

 青森・五所川原民主商工会(民商)が担当する鯵ケ沢町に提出していた「インボイス制度の実施延期を求める意見書」が6月8日、同町議会で可決されました。
 昨年12月には、隣の五所川原市で民商が請願した「消費税インボイス制度の実施中止を求める請願」が採択。民商は「鯵ケ沢町でも採択を」と、6月議会に「インボイス制度の実施延期を求める陳情」を提出していました。
 鯵ケ沢町在住の小林一徳副会長=自動車整備=は「私自身は課税事業者ですが、免税事業者の取引先から不安の声が上がっています。取引先がインボイスの登録をしなければ、うちの消費税負担が増え、取引先が課税事業者になれば、そこの税負担が増える」と憤ります。
 「インボイス実施で、中小業者の経営は大変になります。だから、インボイスは中止してほしい。まだまだインボイスのことを知らない業者も多いので、せめて実施を延期し、業者がきちんと考えられる時間を取るべきです。地元の鯵ケ沢町でも意見書が決議された意味は大きい」と話しました。

福岡・直鞍民商
小竹町と鞍手町 共に全会一致で

 福岡・直鞍民主商工会(民商)が、担当する自治体の6月議会に提出していた「インボイス制度の実施延期を求める意見書を政府に送付することを求める陳情書」が6月20日、小竹町と鞍手町で全会一致で採択されました。いずれも昨年3月議会の実施中止の陳情に続いての採択です。4月の地方選挙で議会構成が変わったため、改めて陳情書を提出しました。
 小竹町では、同15日に開かれた総務産建委員会に民商の岐部博之事務局長が出席して、「町議会としては、インボイス制度の中止を求める意見書をすでに提出しているが、国が中止を決断しない下で、せめてもの延期を求めたい」と趣旨説明。国税庁が1286万件の個人や法人に発送しているインボイスの登録を促す文書の内容を紹介し、「事業者に十分、理解されていないことは明らかで、このまま実施すれば混乱は必至であり、しばらく延期をすべきでは」と訴えました。民商会員でもある宮野一男議員(共産)が賛成討論をするなど、委員会では全会一致で陳情を認めることとなりました。
 鞍手町議会でも、民商会員である宇田川亮議員(共産)が同16日の総務文教委員会で賛成討論を行い採択し、本会議でも全会一致で採択しました。
 同23日から始まった直方市議会では、民商の要請を受けて、共産党議員団が「インボイス制度の延期を求める意見書(案)」を提出。7日の最終日の本会議で賛成少数で否決されました。

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