全国商工団体連合会(全商連)は8日、税務相談停止命令制度(命令制度)の今後の運用に関わって、財務省・国税庁に見解をただしました。
群馬・吾妻民主商工会(民商)が3月に行った中之条税務署との交渉で、総務課長が「民商の税金相談が命令制度の対象に該当する可能性があるので控えてほしい」と発言した問題(4月10日号1面既報)で、「民商の活動を制限させる意図があり、行き過ぎた回答で問題だ。税務署は、民商をターゲットにした規定と捉えているのではないか」と追及。命令制度の対象は、あくまで「脱税や不正還付を指南したかどうか、中身を個別に確認して判断するもの」であることを確認しました。
庁側は「(法の解釈は)国会答弁の内容(4月3日号3面既報)に尽きる」とし、「夏ごろまでに出される税制改正の解説の中で、考え方を示していきたい。今回のご指摘は庁内で共有し、運用の段階では、法改正の趣旨や中身を職員に徹底する」と回答。併せて、命令制度は「特定の団体を対象としたものではない」と明言しました。
電子帳簿保存法(電帳法)通達にある税務調査時の「ダウンロード」に関して、署員が電磁的記録の「提示・提出」を求め、USBメモリなどでデータを持ち帰る問題についても考え方を確認しました。
庁側は「データは基本的にコピーされたものを持ち帰るので、留め置きに含まれず、返還は想定しない」「訂正記録などが残り、検索機能が付いた優良電子帳簿であれば、ダウンロード要件はない。簡易な電子帳簿の場合は、署員がその場で必要な検索ができないことから提出を求め、ダウンロードすることになる」などと回答。参加者は「調査の現場では、納税者の理解も納得もないままパソコンの暗証番号やパスワードを聞き出し、署員自ら操作してデータを持ち帰る事例が起きている」と指摘。「電子帳簿でない事業者への調査でも、ダウンロードが当たり前にやられている」との実態を示し、電子帳簿保存を選択していない事業者への調査で、電帳法の手法を拡大して勝手なダウンロードをしないよう要請しました。庁側は「納税者の理解と協力、法令の定めに従って、適切に対応する」と答えました。