コロナ禍の下、全国の民主商工会(民商)は国民健康保険(国保)の改善運動に取り組みました。全国の自治体でコロナ特例減免や国保に加入する被用者への傷病手当が実現。さらに、個人事業主向けの傷病手当・見舞金を創設した自治体は全国で、手当20自治体、見舞金25自治体となりました(全商連調べ)。事業主向けの傷病手当を実現した自治体では、民商会員から「受給できた」との喜びの声が上がっています。
高知県黒潮町 「事業主」の手当を創設 中村民商 会員、喜びの声
高知県黒潮町は2020年6月、全国に先駆けて制度を創設。中村民商が、国保の「被用者」だけでなく「事業主」へもコロナ特例傷病手当を支給するよう要請書を出していたことが実ったものでした。制度が実現した後も、宮地葉子町議(共産)らと共に、住民への周知徹底や、制度の延長を町に求め、国の財政支援が行われた7日まで延長されました。
黒潮町に住む民商会員のYさん=サービス=も、傷病手当を受給した一人。昨年12月下旬、新型コロナにかかり、7日間の自宅療養中、「1日」休業しました。
年が明け、事情を知った民商の橋崎律子事務局長から「黒潮町は、国保加入の事業主にコロナ傷病手当を支給している。Yさんの場合は、1日分が該当する」と説明を受け、4枚の申請書に記入し、医療機関の証明書(簡易なもの)を添付して2月上旬に提出。2月中旬、町から傷病手当5千円を受給しました。
運動の成果に喜びひとしお
Yさんは「コロナにかかり、精神的にもしんどかったが、国保から思いもよらない給付金をもらえた。町が全国に先駆けて創設し、継続していてくれて良かった。国保料の高さには毎年悩まされている。民商の一員として国保改善に取り組んできただけに、なおさらうれしい。みんなにも知らせたい」と話します。
船口千代松会長=左官=も「要望が実り、会員に給付されたという声が聞けて、うれしい。コロナ不況から抜け出せない業者はたくさんいる。今後も業者に寄り添う施策を要望していきたい」と語っています。
事業主も含め請求期間2年
同町住民課によると、「国保コロナ特例傷病手当金」は、20年1月1日から23年5月7日の制度適用期間中、被用者用は申請7件・決定額8万1934円、事業主用は申請10件・決定額35万円が支給されました。
8日から、新型コロナ感染症の5類移行に伴い、国からの財政支援が無くなるため、同制度の被用者用と同時に、事業主用も廃止となります。
制度継続を町議会で求めてきた前出の宮地議員は、「町の制度が生かされて良かった。黒潮町では全国でも少ない事業主も含め、請求期間が2年あることも(関連記事)、周知を求めていきたい」と語りました。