原発回帰に大転換 フクシマ忘却の法案こそ撤回を|全国商工新聞

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 自民、公明、維新、国民の各党は4月27日、岸田政権が提出した原発推進等5法案を衆院本会議で可決し、早期成立を狙っています。いまだに多くの人を苦しめている東京電力福島第1原発事故の反省や教訓も投げ捨てる「原発回帰」は断じて許されません。
 法案は、原子力基本法、原子炉等規制法、電気事業法、使用済燃料再処理法、再エネ特措法の「束ね法案」です。2月に岸田政権が原発を「最大限活用する」と閣議決定したことを受け、原子力基本法では原発利用を「国の責務」と明記しました。原発事故の教訓から、運転期間を「原則40年」としたルールを、60年を超えて延長できるように緩和します。運転延長の可否を判定するための規定も、原発を監視する原子力規制庁の所管から、原発を推進する経済産業省に移します。規制の「骨抜き」が危惧されます。
 そもそも原発の炉心を収め放射能や放射線を外部から遮断する原子炉圧力容器の設計寿命は40年です。運転中、原子炉の金属は中性子を浴び、もろくなります。原子炉は、運転停止中は影響を受けないとされますが、その他の構造物は確実に経年劣化が進みます。現在、60年を超えて運転する原発は世界に一つもなく安全を確認する点検法も、いまだに検討中です。それでもトラブルは起きないとするなら、それは「安全神話への回帰」に他なりません。
 かつて割高と言われた再生可能エネルギーの新設発電コストは、原発と比べて数分の一に下がりました。国内でも省エネ・再エネの推進により2030年までに12兆円を超す経済効果と107万人を超す就業増の効果が得られると環境専門家は試算します。
 「福島原発事故の惨禍を繰り返すな」の世論は根強く、原発回帰に道理はありません。ドイツは4月15日、原発3基を停止し、原発ゼロを実現しました。マイヤー環境・気象保護相は「原発のリスクは制御できない」「福島の原発事故が決定打になった」と語りました。
 国と東電に賠償を求める福島県民は「福島の現状をなかえいったことにし、原発を未来永ごう劫延命させる法案」と批判します。政府・与党は、この声を重く受け止め、フクシマ忘却の法案を撤回すべきです。

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