埼玉県本庄市 「インボイス制度の実施延期を求める意見書」を採択 本庄民商 「益税」論を打ち破る 自民会派4人も賛成|全国商工新聞

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 埼玉県本庄市議会は3月24日、「インボイス制度の実施延期を求める意見書」を賛成多数(賛成11人、反対9人)で採択しました。本庄民主商工会(民商)が請願していたもので、県内では2例目、民商単独の請願では初採択です。“益税”論を打ち破って、意見書採択を勝ち取りました。

 12月議会では、慎重な議論を求める声などが上がって「継続審議」となり、3月議会で改めて審議されました。

「すごく勉強した」 態度を変えた議員

3月議会を傍聴した本庄民商の金澤利行(右端)、野澤孝義(中央)両副会長と民商の役員・会員ら

 3月議会の最終日、民商の役員らは本会議を傍聴。意見書が採択された瞬間、傍聴席に笑顔が広がりました。金澤利行副会長=鍼灸治療院=は「自民党会派の4人全員が意見書採択に賛成した。粘り強く働き掛ければ、制度の問題点が理解される」と確信を深めています。採択終了後、12月議会で賛成しなかった議員が金澤さんに「あの後、すごく勉強した」と話し掛け、「地域の業者からも話を聞き、賛成に回った」と打ち明けました。別の議員は電話で「12月議会の趣旨説明後、次は賛成しようと思った」と話してくれました。
 3月の本会議では、栗田弘志市議(公明)が反対討論を行い、インボイス制度は「税の公平性を保つために必要だ。免税事業者の手元には消費税が残ってしまう」と“益税”論を主張。それに対し、山口豊市議(自由民主党本庄クラブ)が賛成討論を行い、「インボイス制度が実施されれば納税額や事務負担が増え、対応できない。制度の内容が周知されておらず、つつましく商いをしている人たちのため、猶予期間が必要だ」と強調。柿沼綾子市議(共産)も「全国では1100万者以上の事業者に影響を与え、免税事業者が課税事業者になれば、15万円程度の消費税負担が増えてしまう」などと訴え、意見書採択につなげました。
 民商では、昨年10月から柿沼市議と相談して請願書提出の請願準備を進めました。柿沼議員の働き掛けもあって、谷田裕之市議(市議団大地)が紹介議員になることを快諾。谷田議員は時計や貴金属を販売しており、インボイス制度は自身にも降りかかってきます。

「地域経済に打撃」 役員が議会で訴え

 同11月18日に「インボイス制度の実施延期を求める請願書」を提出し、同12月1日の総務常任委員会では、野澤孝義副会長=設備=と金澤副会長が趣旨説明を行いました。「“益税”があるといわれるが、消費税は“預かり金”ではなく、“対価の一部”であることが確定判決でも明らかになっている。インボイス制度は、地域経済や地元の事業者に大打撃を与える」と訴えました。
 3月議会の総務常任委員会では、谷田市議が「商店街で夫婦で経営している小さな店から『どう対応すればいいのか。まずは、きちんと説明してほしい』などの声が聞かれる。物価高騰やコロナ禍の影響で大変な状況に置かれ、経営体力が回復するまでの間、猶予を」と訴え、請願は採決されました。
 柿沼市議から委員会採択の連絡を受けた民商は、役員が手分けして、つながりのある市議や地元の市議に働き掛け、請願採択を要請しました。
 民商では「担当する残り3自治体も、6月議会で意見書採択を勝ち取ろう」と話し合っています。

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