消費税インボイス制度の中止・延期を求める意見書は全自治体の4割弱に提出され、1割弱で採択―。全国商工団体連合会(全商連)の調査で明らかになりました(2022年12月末時点)。全自治体1788のうち657自治体(36.7%)に、各地の民主商工会(民商)などが「インボイス制度実施中止・延期を求める意見書」の請願を提出。採択されたのは提出した自治体の22.1%、継続審議は51自治体でした(下の表)。4月の統一地方選の大きな争点です。各地の昨年12月議会での取り組みを紹介します。
青森県五所川原市は、「消費税インボイス制度の実施中止を求める請願書」を賛成多数(賛成11人、反対10人)で採択しました(12月13日)。五所川原民商が請願したもの。総務常任委員会で審議され、本会議では「採決すべき」が多数となったことが報告され、花田進市議(共産)が賛成討論を行いました。「課税事業者は、経費にかかった消費税を仕入税額控除ができるようになっている。しかし、仕入税額控除ができる要件がインボイスの保存になることは、仕入税額控除方式の大転換につながる。インボイスが発行できなければ、消費税分の値引きを強要されることも考えられ、事務負担も増える。10月からの実施は中止すべき」と訴えました。
兵庫県香美町は「インボイス制度の中止を求める意見書」を賛成多数(賛成8人、反対4人)で採択しました(12月21日)。谷口眞治町議(共産)が意見書を提出。「免税事業者がインボイスの発行を求められて課税事業者になれば、売上高に関係なく、消費税の納税義務が発生する。一方、課税事業者を選択しなければ、取引から排除される恐れがある。排除を避けるには、課税事業者を選択し、消費税を納税するか、消費税分の値上げを飲ませざるを得ない。インボイス制度を実施すれば、コロナ危機や物価高騰で事業継続の瀬戸際に立つ事業者を一層苦しめ、地域経済がさらに疲弊する」などと指摘し、インボイス制度の実施中止を強く求めました。
愛媛県八幡浜市は「インボイス制度の実施延期を求める意見書」を全会一致で採択(12月22日)。佐々木加代子市議(公明)が提案し、「これまで経験したことのない不況下で、中小零細事業所は骨身を削る思いで経営に当たっている。地域社会において、中小零細事業所はアフターコロナの経済回復に、その存在や力が欠かせないもの」と訴え、実施延期を要望しました。
全国の採択状況は以下のPDFよりご覧いただけます。
>>「インボイス中止・延期等を求める意見書」の請願・陳情を採択した自治体(PDF)