自主申告権守る重大局面 「命令制度廃案に」など訴え
全商連常任理事・税金対策部長 服部 守延さん
3・13重税反対全国統一行動に向けた準備が各地で進んでいます。今年の行動を巡る情勢や特徴、取り組みの意義を全国商工団体連合会(全商連)・税金対策部長の服部守延常任理事に聞きました。
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今年で54回目を迎える3・13重税反対全国統一行動で、集会・デモ行進・集団申告を実施する地域が広がる一方で、「集団申告をやめて、申告書は代表が持ってくるように」といった税務署の要望を受け入れる動きも見受けられます。しかし、自主申告は他人に任せるものではありません。その権利を放棄すれば、やがて課税庁が所得と税額を決める時代へと逆戻りしかねません。
強調したいのは、今年の統一行動の意義と重要性です。岸田政権は、大軍拡と大増税の予算案と一体に、「税務相談停止命令制度」の創設を打ち出しました。「専守防衛」に徹してきた戦後政治と国民主権に基づく申告納税制度の大転換が狙われる重大局面で統一行動を迎えるということです。
岸田政権が確保しようとする年間約11兆円規模の軍事費を賄うためには新たに5兆円が必要になります。幼稚園から大学までの教育や科学技術の振興を担う文部科学省の年間予算(5兆2941億円)に匹敵する額です。
国会には、中小企業向けコロナ特別貸付のための基金残金2350億円などを、使わず残った「不用額」として軍拡財源に注ぎ込む予算案が上程されています。営業と暮らしを圧迫する大軍拡を許すわけにはいきません。
税務行政でいえば、人権無視の税務調査や生存権を脅かす徴収が横行しています。確定申告を巡って、「確定申告はスマートフォンでないとダメと言われ、申告会場から帰った納税者がいる」という実態が税務支援にあたった税理士から報告されています。国会では、税務相談停止命令制度の質疑が佳境を迎えます。コロナ禍と物価高騰による営業と暮らしの危機は深まるばかりです。
「税務相談停止命令は廃案に」をはじめ、「消費税減税」「インボイス中止」「軍事費を削って暮らしに回せ」など、緊急切実な要求を全ての納税者に訴え、行動を可視化することが求められています。
緊迫する情勢と3・13統一行動の歴史と意義をしっかりつかんで、税務署の介入をはね返し、積極果敢に共同行動を発展させるよう呼び掛けます。