議員との連携深め 各地の12月議会で採択続く 「消費税インボイス制度の実施中止・延期を求める意見書」|全国商工新聞

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 「委員会での否決を本会議で一転、採択」「町長との懇談も力に、全会一致で採択」など各地の12月議会で、消費税インボイス(適格請求書)制度の実施中止・延期を求める意見書採択が広がっています。民主商工会(民商)は、日本共産党の議員とも連携して採択を勝ち取っています。

滋賀県米原市
本会議で逆転採択に 滋賀・長浜民商 実施中止へ運動加速

インボイス制度の実施延期の意見書が採択されて笑顔の米原支部の役員。左から2人目が岡田雅和会長

 「意見書が本会議で逆転採択!」―。滋賀県米原市は総務産業建設常任委員会で否決された「消費税インボイス制度の実施延期を求める請願」を議会最終日の12月23日、一転採択しました。長浜民商が請願書を提出していました。
 日本共産党の藤田正雄、山脇正孝の両市議が尽力。山脇市議は12月1日、請願趣旨を説明。委員会審議で藤田市議は「コロナ禍にウクライナ危機、物価高騰で業者の経営は深刻だ。インボイス実施で、さらなる負担が強いられる。県内でも延期など意見書採択が広がっている」と訴えました。
 しかし、保守系議員から「免税事業者の『負担軽減策』として、消費税納税額を売り上げに掛かる消費税の2割に抑え、年間売上高1億円以下の事業者は仕入れ額1万円未満ならインボイスは不要と検討されている。実施に向け動いているので延期は難しいのでは」と意見が出され、賛成3、反対4で否決されました。
 議会最終日、藤田議員が賛成討論に立ち、反対討論では委員会と同様の意見が述べられました。しかし、最大派閥「天翔クラブ」(議長除いて7人)の中川松雄市議が賛成し、賛成8(反対7)となり、請願は採択されました。中川議員は議員になる前は民商会員で、上下水道工事などを請け負っていました。その後家族が事業を引き継ぎ、中川市議は商工新聞を引き続き購読していました。水道事業は自治体の「特別会計」でインボイスが必要になり、対応が迫られます。
 岡田雅和会長=鉄工=は「県内での意見書採択は6自治体になった。民商が担当する長浜市でも意見書採択を勝ち取り、『負担軽減策』ではなく、実施中止・延期に追い込みたい」と話しています。

広島県北広島町
全会一致で採択 広島北民商 町長と懇談も力

北広島町の箕野博司町長(右)に要望書を手渡す久村守会長

 広島県北広島町は「消費税インボイス制度の延期を求める意見書」を全会一致で採択。県内では世羅町に続いて2例目です。
 12月21日の本会議で、議会事務局から意見書案が読み上げられ、提案者の美濃孝二町議(共産)が趣旨を説明。「インボイスが知らされない中、町内の小規模な出荷農家やシルバー人材センターの会員から疑問や不安が広がっている。道の駅やシルバー人材センターも対応が混乱している。課税事業者にならなければ、取引から排除される」と実施延期を求め、全町議10人が賛成しました。
 広島北民商は11月28日、箕野博司町長と懇談。久村守会長=電気工事=が「新型コロナ危機、物価高騰から中小業者の営業と暮らし守る要望書」を手渡し、インボイス制度の実施中止・延期を要望していました。箕野町長は、コロナ危機や物価高騰への対策を強める要望に理解を示しました。町との懇談に、箕野町長は可能な限り同席し、地域の中小業者の要望を聞く姿勢を見せていました。
 民商では「町長との懇談も採択に力を発揮した。町長との懇談を引き続き重ね他の自治体でもインボイス制度の実施中止・延期を求める意見書を採択させよう」と話し合っています。

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