傷病手当の拡大ぜひ
佛教大学准教授 長友 薫輝さん
全商連による「国保提言2022」の公表に敬意を表します。
長引くコロナ禍によって、業者の皆さんをはじめ、人々の生活や労働に影響が及んでいます。
その上、ロシアによるウクライナ侵攻等による物価高騰もあり、各世帯に対する深刻な家計圧迫、そして人々の健康不安が増幅しています。
このような情勢では、いっそう安心して医療を利用できるようにすることが重要です。お金の心配をせずに、より軽症段階で治療を開始できるよう、医療へのアクセスを保障しなければなりません。
医療へのアクセス保障とは、病院までの交通手段を確保することはもちろん、国保においては、従来の医療費自己負担の減額・免除措置を充実させ、医療を利用しやすくすることです。医療へのハードルを下げる必要があります。
本提言の通り、被用者に限定された傷病手当を拡大し、コロナ禍での特例措置を恒常化することや、出産手当の創設等も、受療権、健康権の保障を拡充することにつながります。
力強く現実的な展望
全国保険医団体連合会会長 住江 憲勇さん
いつでも、どこでも、誰でもが、高い水準の医療を受けることができる国民皆保険制度の重要性が、いまほど高まっている時はありません。その国民皆保険制度の肝心要の制度が、国民健康保険(国保)です。
「提言」は、国民の受療権、健康権の実現、生存権の実質的な保障という見地から、いまの国保の問題点を解明し、その解決方向を展望した、大変力強く、かつ現実的な内容です。分かりやすくまとめられており、学習にも最適です。
経済的な理由で医療機関を受診できない―高過ぎる保険料・税や窓口負担のために起きているこうした事態をなくしていこうと、私たちも患者、国民の皆さんと共に取り組んでいます。
岸田政権は、コロナ禍の「医療崩壊」を経験してなお、医療体制の縮小と社会保障抑制に固執しています。「提言」の実現に向けた取り組みが、国保制度と医療・社会保障の立て直しにつながることを大いに期待しています。
統一地方選前が重要
中央社会保障推進協議会事務局長 林 信悟さん
「国保提言2022」の完成を歓迎します。
私たちは昨年12月、国保改善運動交流集会を開催しました。基礎講座「国保の歴史と基礎をあらためて学ぼう」では、国保は低収入の方が多く、コロナ禍と物価高の被害を最も受けており、国保改善は切実で、統一地方選前の運動が重要と強調しました。
実践講座「国保改善へ具体的なたたかい」では、運動を進める上で、第一に国保は助け合いではなく国と自治体が責任を持つべき社会保障制度であること、第二に国保料は被用者保険より明らかに高いこと、第三に公費投入は不公平との声に、むしろ同じ収入・家族構成で加入する医療保険が違うだけで保険料が2倍ほどにもはね上がることこそ不公平だと行政と住民で合意形成することが重要―との3点を強調しました。
「国保提言2022」を活用し、運動に生かしていきたいと思います。
「国民的運動」に賛同
全日本年金者組合中央執行委員長 杉澤 隆宣さん
「高齢者には最高水準の健康を享受する権利がある」(日本高齢者人権宣言)を学習する年金者組合にとって「国保提言2022」が政策、実践、両面から最良の「指針」です。
「国保改善の国民的な運動」の呼び掛けにも賛同します。
国保加入者の3割強の65歳から74歳は、大半が年金生活者です。年金者組合では世代交代の大事な階層です。
要求を大別すると「年金の増額」「高齢者就労問題」、そして、「国保問題」が強調されています。
「国保」が「国民皆保険」を底辺で支える社会保障なのに、長年の自公政権下でさいな「自己責任」に苛まされ、「差別、格差、分断」にさらされています。さらに「収奪」され続けています。
「七つの提言」のうち①保険料滞納者を無保険者にする「保険証」を取り上げない③傷病・出産手当を創設する④全国の自治体が求める1兆円の公費投入で無理なく払える保険料―など、国民運動の一翼に加わる決意をお伝えします。
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