「第4回『損害保険代理店問題を考える』院内集会」(主催・同実行委員会)が12月2日、参院議員会館で3年ぶりに開かれ、全国の損保代理店経営者92人が参加しました。
テーマは「損害保険代理店の安定した経営とセーフティーネットの役割発揮を」。各地の損保代理店はこの間、自然災害が増加・激甚化する中、自ら被災しながらも地域のセーフティーネットの役割を果たしてきましたが、手数料ポイント制度などの影響で経営が悪化しています。この3年間は、新型コロナの影響で開催を見送ってきましたが、損保代理店が窮状を訴え、互いに交流する場を持ちたいとの声に応え、開催したものです。損保会社主導で進める代理店の統廃合問題の実態なども交流しました。
金融庁監督局の三好敏之審議官が金融行政報告を行い、「保険会社と代理店の間にさまざまな問題が生じていることは認識している。民間同士の契約で相互間での解決が原則だが、代理店や保険会社と意見交換できる場を持ち、保険会社の一方的な対応にならないよう、丁寧な対話を求めているところ」と話しました。
松浦章・兵庫県立大学客員研究員が基調報告。「損保代理店の営業存続の最大の課題は、手数料ポイント制度だ。ごまかしに満ちた保険会社の説明で契約内容の変更を迫り、この制度が広がった。さらに、一方的な代理店の淘汰・再編の策動が強まっている。損保代理店がセーフティーネットの役割を果たしていくためには、これらの課題の克服が求められている」と述べました。
意見交換では、「自動車ディーラーが保険加入を条件に車体価格を値引きし、乗り換えさせる例が複数ある。確認できているだけで、うちの顧客の中にも3件あった」「複数の保険会社の商品を取り扱っているが、手数料率や手数料ポイントが異なるため、顧客本位の商品選びが、おろそかになりかねない」などの悩みを交流。「損保代理店の企業組合が必要」との意見も複数出されました。
財務(政)金融委員会に所属する日本共産党や自由民主党、立憲民主党の国会議員らも参加。日本共産党の小池晃参院議員は「災害が増える中、地域で役割を果たす皆さんの仕事を支えたい。手数料ポイント制度は、独占禁止法の優越的地位の乱用に当たるのではないか。公正取引委員会に働き掛けたい」。立憲民主党の末松義規衆院議員は「手数料問題で、ここまで代理店が苦しめられているとは知らなかった。改善に向けて頑張りたい」などと話しました。
手数料ポイント制度
損保代理店の主な収入源である損保会社からの手数料が、損保会社が定める基準によって一方的・大幅に変動する制度。以前は、一定の基準を満たせば手数料は一律で、20%前後が相場だったが、ポイント制度の導入によって、ポイントの差が20~120と6倍もの格差が生じるようになった。規模の大小を問わず収入が激減する代理店が相次ぎ、見直しを求める声が高まっている。