税財政の民主化運動を抑圧 財務機構を通じた治安政策
2023年度税制大綱(22年12月23日閣議決定)は、財務大臣が「税理士でない者は税務相談を停止しろ」と、中小業者、農民、年金者、建設労働者、生活と健康を守る団体などに命令をする、自主申告運動への思想弾圧と組織破壊を企てる方針を打ち出した。
停止命令規定の概要は、以下のように政治の中心課題である税財政の民主主義を求める運動を徹底的に抑圧するものである。
①財務大臣は税務相談の停止命令ができる。命令違反者には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金を科し、違反者名を3年間インターネットや官報で公示する②国税庁長官は税務相談者を質問検査できる。質問検査に対する拒否又は虚偽答弁等には30万円以下の罰金を科す③この規定は2024年4月1日から実施する。
戦前、警官が演説に問題あるとして「弁士中止」と発した亡霊の再来といえよう。
民主主義は国民が主権者としての自覚を持ち、自らの手で自らのための政治を行うことを身上とする。日本国憲法を真の民主主義憲法にするには、国民主権、基本的人権の二本柱を重視しなければならない。
戦前の納税方式は、政府が納税額を強制する賦課課税制度であった。戦後、納税の自由権として申告納税制度が確立された(憲法13条、国税通則法16条)。
思想および良心の自由は絶対に不可侵である(憲法19条)。思想の自由があっても、思想を発表し、他人に伝える自由がなければ思想の自由は無きに等しい。
立憲民主党、日本共産党、れいわ新選組、社民党の4党は22年6月10日、消費税減税と適格請求書(インボイス)制度廃止などを盛り込んだ消費税減税野党共同法案を衆院に共同提出した。
命令規定は共同提案のような思想を阻止するために出現したものであり、消費税を主たる財源とし他国を空爆する「敵基地攻撃」に反対する人々を財務機構を通じて行う治安政策である。
われわれは、自由と人権を守るため、どれだけ多くの尊い犠牲が払われたかに思いを巡らせ、弾圧規定に対抗し、自らの努力で憲法21条が保障する集会・結社・表現の自由を守り抜いて後世に伝える義務がある。
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