「今こそ結びつきを大切に」 全商連事務局長・岡崎民人に聞く 今年の民商・全商連運動|全国商工新聞

全国商工新聞

 物価高騰や長引くコロナ禍の下、中小業者の営業と暮らしは大変な状況に陥っています。しかし、岸田政権は、大軍拡・大増税路線を強行。2023年は政治を大きく転換させて危機を打開し、商売を守る運動が重要です。岡崎民人事務局長に聞きました。

 3年に及ぶコロナ禍に円安と物価高騰が、中小業者の経営と暮らしを圧迫しています。価格・単価の見直しや経費削減など必死の努力にもかかわらず、利益が減少し苦難が広がっています。こんな時だからこそ、結び付きを大切にし、励まし合う「世直し、人助け」の民商・全商連を大きく発展させたいと思います。

営業を守る活動を全力で

 ― 危機打開をめざす民商・全商連運動が果たす役割は、ますます重要です。

 倒産・廃業から商売を守る活動に全力で取り組みます。政府の中小業者支援は縮小されたままです。売り上げの減少に見合う固定費補助の再給付や資金繰り支援、補助金の改善・拡充を国・自治体に迫ります。「誰一人取り残さない」立場で相談活動を広げましょう。
 金利・保証料の自己負担なしで借り換えと新規融資を可能にするなど、使い勝手の良い支援制度や返済免除の実施を迫り、資金繰りに生かします。
 「集まって、話し合い、相談し、助け合う」活動こそ民商運動の原点です。ウェブも活用し、身近な「商売を語る会」で知恵と工夫を交流し、活路を開きます。
 全自治体要請に取り組んで8年になります。政策提案を継続し、危機に直面する中小業者への支援策を継続・拡充させましょう。
 全国中小業者団体連絡会が呼び掛け、2月19日に東京・日比谷野外音楽堂で「『防衛増税』ストップ!営業と暮らし、命を守れ」の集会が開かれます。翌20日には省庁要請も行うので、要求と署名を持って全国から参加し成功させます。

インボイスを必ず中止に

 ― 消費税減税とインボイス中止を求める声が広がっています。

 2023年度政府予算案の審議が重要局面を迎えます。23年度からの5年間で軍事費を43兆円にする大軍拡予算です。その財源をさらなる増税と医療・社会保障の削減など「歳出改革」で賄おうとしています。税金の集め方と使い道の是正が急務です。過去最高の軍事費を削って、医療や感染症対策、中小業者支援を充実させるべきです。
 消費税が景気を悪化させ経営を圧迫しています。富裕層や大企業を優遇する不公平な税制を正せば、消費税に頼らず財源を確保できます。世界では100の国・地域で日本の消費税に当たる付加価値税を引き下げています。日本でできないはずはありません。
 インボイスは、消費税率の変更を伴わない増税策であり、税率アップの布石です。中止に追い込むことを諦めず、全国民的な課題として世論を広げます。
 幅広い中小企業団体や税理士団体、文化芸術団体、フリーランスに反対の声が広がっています。政府は「負担軽減」策で反対運動を抑え込もうとしていますが、実施を前提とした時限・限定的なもので、何ら根本問題の解決にはなりません。登録期限は9月末です。慌てて登録しないことが反対の意思表示になります。
 与党税調が決定した23年度の税制大綱に税務相談の弾圧を狙う制度創設が盛り込まれました。こうした策動を許さない共同を広げます。「自主計算パンフレット」を積極的に活用し、税金相談員を増やして、自主記帳・自主計算を進めることが重要です。55回目を迎える3・13重税反対全国統一行動は、地域の広範な団体との連携を強め、インボイス中止の一大決起の場にします。そして、倉敷民商弾圧事件の勝利をめざしながら自主申告への弾圧をはね返す運動に全力を挙げ、法人申告を含め全ての会員にも呼び掛け、工夫して成功させましょう。

憲法守り大軍拡を阻止し

 ― 大軍拡を阻止し、憲法を守る運動にも力を入れなければなりません。

 岸田政権は、国民の信を問わず閣議決定だけで、これまでの「専守防衛」を投げ捨て戦争国家へ大転換しようとしています。敵基地攻撃能力を保有することやGDP(国内総生産)比2%への軍事費の大増額、公共事業や学術研究も防衛力強化に「動員」しようとしていることに不安と怒りが広がっています。
 「平和でこそ商売繁盛」。軍事対軍事ではなく、憲法9条を生かした外交努力で平和なアジアをめざすべきです。憲法と民主主義、暮らしを壊し、原発依存、個人番号カードを強要する自公政治の暴走は目に余ります。
 春には統一地方選挙があります。
 インボイスを中止に追い込む上でも重要になるのが政治の流れを変えることです。中曽根内閣が売上税を提案した直後の1987年の統一地方選挙で、自民党は294議席を減らし、導入を断念。退陣に追い込んだ経験があります。中小業者の要求実現の機会と位置付け、商売と政治の関わりを語り合う機会を増やします。

担い手広げて年間増勢を

 ― 1~3月の「春の運動」での仲間づくりも期待されています。

 要求を実現していくには、道理を掲げ、団結を強め、国民共同を推進する民商・全商連が大きくなることです。地域にどんな民商をつくるのか展望を語り合いましょう。「困った時には力になる」のが民商です。「わが班・わが支部」づくりや商工新聞中心の活動で、担い手を増やし、成果や実績、温かい仲間がいる民商を、地域の中小業者に知らせましょう。「自営業・小企業・フリーランスも相談は民商へ」と宣伝し、全ての組織が商工新聞読者と会員で、3月末での年間増勢をめざします。
 家族一人一人の思いや要求を大切にするのが民商運動です。共済会は、健康実態の告発を通じて地域医療・介護を守る共同に貢献し、命と健康を守る助け合いを広げます。婦人部は、業者婦人の実態調査結果を行政に示し、所得税法第56条廃止、ジェンダー平等への理解を広げます。青年部は、業者青年交流会の成功を力に経営意欲を高め合い、業者青年に魅力ある民商建設を追求します。
 中小業者の役割が正当に評価される社会の実現をめざして力を合わせましょう。

購読お申込みはこちらから購読お申込みはこちらから