「敵基地攻撃能力の保有」で自公合意 軍拡と戦争する国づくり許すな|全国商工新聞

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 自民、公明両党は2日、「敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有」について合意しました。戦後の日本が基本としてきた「専守防衛」を大転換するもので、「海外での武力行使」を禁じた憲法第9条に違反する許しがたい暴挙です。
 政府は今回の合意を受け、年内に決定する国家安全保障戦略など安保3文書に「反撃能力」の保有を明記する方針。敵基地攻撃能力は日本への武力攻撃がない段階でも、相手領土への先制攻撃を可能とします。陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」の長射程化や、米国製長距離巡航ミサイル「トマホーク」の導入などが想定されています。
 岸田文雄首相は5日、軍事費(防衛費)の規模について、鈴木俊一財務相と浜田靖一防衛相に対し、2023年度から5年間の総額を43兆円とするよう指示。現行の中期防衛力整備計画(中期防・保有すべき防衛力の整備のため5年ごとに策定)の総額が、約1・56倍となる大軍拡です。
 自民、公明の両党は7日、軍事費増額の財源について協議し、歳出改革などをしたうえで、不足分は増税で対応する方針で一致。政府の「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」は当初、所得税・法人税を含む増税を想定していましたが、経団連の強い反発を受け、「法人税」の記述は削除されました。財務省の財政制度等審議会の建議は国民負担の在り方について、「国民の理解と納得を得ていくことが重要」とし、増税・社会保障削減路線を明確に打ち出しました。物価高騰に苦しむ中小業者の実態から目を背け、消費税減税を求める声に応えるどころか、インボイス導入と併せて大軍拡のための増税を狙っていますが、来年の統一地方選挙でマイナスイメージとならないように、来年度以降に先送りするという姑息さです。
 5月に開催された全商連第55回定期総会では、軍事的対応をあおる動きに警鐘を鳴らし、「戦争の犠牲になるのは国民・中小業者の命と商売です。憲法9条をもつ日本政府に、平和外交を世界規模で展開し、紛争を戦争へと拡大させない日常的な行動を強く求めます」との方針を決議しました。大軍拡に反対し、平和憲法を守って、戦争する国づくりを阻止する運動に力を合わせましょう。

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