署名で消費税インボイス制度中止に追い込もう|全国商工新聞

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団体が相次ぎ延期、中止表明

 映画関係者や俳優、美術家、文学者などの団体が相次いで、消費税インボイス制度の実施中止・延期を求める要望書などを発表しています。

映画の未来のために 映職連

 映画監督や照明、録音、美術監督など8団体で構成する「日本映像職能連合(映職連)」は11月24日、インボイス制度の延期、改善を求める要望書を国や自民、公明の両党に送りました。要望書では「インボイス制度が導入されれば、納税義務を負うか、免税事業者のままでいれば取引を失う可能性もある」「立場が弱く収入の低い者ほど負担が大きくなり、制度が実施されれば、さらなる収入減に陥り、転業を考える者が頻出することも考えられる」と懸念。映画製作の未来のために、労働環境が改善されるまで制度導入の延期およびフリーランスを苦しめない制度への改善を求めています。

延期ではなく中止に 日俳連

 これまで「施行延期」を求めていた「日本俳優連合(日俳連)」は「施行ストップ」の要望に転じました。組合員らが出演した映像作品の二次使用料を徴収し、出演者に分配する毎年の作業は膨大で、対象者は延べ数万人に及ぶと指摘。「課税事業者・免税事業者に峻別するには、新たな費用と可成りの時間が必要」で、「従来の作業期間では対応が不可能」と訴えています。税務署に相談しても「1カ月かかる」と言われ、「税務署の回答を待ち対象者等に周知し手続きを済ませるには、時間がなさすぎます」としています。本名まで検索できるサイトのシステムは改修されたものの、「ダウンロードデータから本名等の個人情報が未だに判明してしまう」と指摘。「本名は検索者には分からないシステムが必要」で、現在のシステムでは不十分として「施行出来る状態ではない」と強調しています。

弱者を狙い撃ちする 脚本家ら6団体

 脚本家や日本児童文学者、シナリオ作家、図案家、美術家、美術著作権などの6団体は11月25日、インボイス制度の導入に反対し、実施中止を求める共同声明を発表。インボイス制度は弱者である免税事業者を狙い撃ちするかのような制度になっていると指摘。「若い世代を育成し、コンテンツ産業を活性化するためには、課税事業者か免税事業者かのストレスなく、コンテンツを創出できる環境が必要」と強調し、一刻も早い実施中止を求めています。

公共入札 免税業者の排除許さず

排除する自治体「ない」 全商連 懇談で市長会回答

 全国商工団体連合会(全商連)は11月22日、消費税のインボイス制度実施を巡り、全国市長会(会長=立谷秀清・相馬市長、加盟792市・23特別区)と懇談し、インボイス制度実施の中止・延期を政府に要請することや、公共工事や公共調達から免税事業者を排除しないよう申し合わせること―を求めました。
 市長会側は、インボイスに非対応の事業者を公共工事や公共調達から排除することは、「総務省から不適切と通知されており、そのような対応を行う自治体はないと考えている」と回答。インボイス制度に関しても「令和5年度国の施策及び予算に関する提言」(11月17日付)で「免税事業者への影響を踏まえた必要な方策」などを国に要望したと紹介しました。「高齢者事業団をはじめ、各部署からさまざまな要望が寄せられた」と述べ、「免税事業者への負担軽減などは国がしっかり行うよう求めた」と重ねて表明しました。
 また、インボイス導入を決定した当時(2016年12月)と、その後のコロナ禍や物価高騰による景況とのギャップを見れば、「この状況でインボイスを導入すべきか、国は問われる」と、率直な思いも語られました。

国会「排除しない」答弁

タクシー入構制限 独禁法抵触おそれ
小池晃参院議員

 この問題では、小池晃参院議員(共産)が11月1日、財政金融委員会で質問。総務省は、三橋一彦大臣官房審議官が「インボイス発行事業者でない者を競争入札に参加させないこととするような資格を定めること」と「インボイス発行事業者であることを競争入札に参加する者に必要な経営の規模及び状況に関する要件とする資格を定めること」はともに「適当ではない」と答え、財務省は前田努主計局次長が「単に免税事業者であることのみをもって国が発注する入札に参加させないとすることは適切ではない」と答弁。
 小池参院議員は免税事業者のタクシーがJR駅構内へ入構できなくされようとしている問題も併せて追及し、国土交通省運輸安全委員会事務局の岡野まさ子審議官から「インボイスを発行することができない事業者の入構を制限することは…独占禁止法の規定に抵触するおそれがある」と答弁させました。

インボイスの登録 9月30日まで可能
田村貴昭衆院議員

 12月6日には田村貴昭衆院議員(共産)が財務金融委員会で質問。国税庁が来年3月末としているインボイス発行事業者の登録期限について、「困難な事情がある場合、9月30日までに提出すれば10月1日に登録を受けたものとみなす」(同庁・星屋和彦次長)と答弁させ、ぎりぎりでも申請可能なことを確認しました。

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