納税者権利憲章をつくる会(TCフォーラム)は11月16日、「電子インボイス/デジタルインボイスと納税者の権利」と題した学習会をオンラインで開催。各地の民主商工会などで81カ所、100人超の参加者が視聴しました。
白鷗大学の石村耕治名誉教授が講師を務め、来年10月のインボイス制度実施と同時に導入が狙われている「電子インボイス」について、諸外国の状況を基に解説しました。
電子インボイスとは「デジタル庁が認証したIT事業者と契約し、事業者が提供するアクセスポイントサービスを通じて、企業間や政府調達取引の際にインボイスをやり取りする仕組み」と説明し(図)、「イタリアやポーランド、韓国などでは電子インボイスの義務化と取引監視システムの導入で、納税者データの監視や記入済み申告書へと進んでいる」と紹介しました。
その上で、「現在は事業者が請求書等を電子データで受け取った場合、特例で出力データでの仕入税額控除が可能だが、来年10月以降は電子インボイスを採用する事業者との取引の際には電子帳簿の導入が迫られる」と指摘し、「情報技術格差が著しい中小事業者が取引から排除される危険があり、憲法が保障する営業の自由や生存権の観点からも問題がある」と告発しました。
石村さんは最後に「納税者の権利や利益が守られて初めてデジタル化は許される。納税者の権利憲章に盛り込んでいく必要がある」と憲章制定の意義を説明しました。