岸田文雄内閣は10月28日、総額39兆円、事業規模71.6兆円となる総合経済対策を閣議決定しました。目玉は、物価高騰対策として電気、ガス代などの負担軽減や、「新しい資本主義」の加速として、妊娠・出産時を通じて10万円相当を支援する事業の創設などです。
一方、原発10基の再稼働や次世代革新炉の開発、健康保険証との一体化を加速するとしてマイナンバーカードの普及推進など、疑問点が多い政策も含まれています。大規模な支出を閣議決定で行うことは国会軽視として批判の声が上がっています。
中小企業分野では、賃上げの促進、適切な価格転嫁、信用保証制度における借り換えや新たな資金需要に対応する制度の充実などを掲げています。しかし、賃上げに結び付いてこなかった「事業再構築補助金」などを挙げるにとどまり、「インボイス制度の円滑な導入を見据えた中小企業・小規模事業者への支援を実施」とあくまでもインボイス導入に固執しています。
大規模支出を要請したのは自民党です。萩生田光一政調会長は、昨年並みの「30兆円を超える規模が必要」と発言。アベノミクスによる大規模金融緩和政策の弊害で、円安に対する根本対策が取れず、旧統一協会問題や物価高に批判が集まり、支持率低迷の挽回を期して大規模な財政出動を行う狙いが透けて見えます。
今、国民や中小業者が望むのは、新型コロナ第8波の懸念が高まる下で、徹底したコロナ対策と医療体制、社会福祉の充実です。一部の品目に限らない抜本的な物価高の抑制です。保健医療体制の強化は対策に盛り込まれましたが、病床削減推進法は撤回されず、根本が間違っています。
総合経済対策の裏付けとなる第2次補正予算案は29.1兆円です。これだけ支出するなら1年間の消費税約26兆円をゼロにでき、インボイスも必要なくなります。最も平等で効果的な経済対策は消費税の減税です。「10・26日比谷MEETING」でも、さまざまな分野から「消費税減税を」との発言が相次ぎました。世界の99の国と地域が消費税や付加価値税の減税に踏み出しています。「今すぐ消費税5%へ減税」「真に国民が望む物価対策」を求め、声を上げましょう。