仕入れ上昇経営直撃 全商連・中小商工業研究所 22年下期営業動向調査|全国商工新聞

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価格転嫁が課題に インボイスへ懸念

価格改定を知らせる張り紙

 「物価高騰の影響で、原材料・商品の仕入れ値DI値が2001年に同項目の調査を始めて以来、過去最高に」―。全商連付属・中小商工業研究所は13日、2022年下期営業動向調査の結果を公表しました。
 物価高騰が影響し、今期(22年下期)の「原材料・商品の仕入値DI値」は86.1と、過去最高値となりました(これまでのピークは08年下期の80.4)。原材料・商品の仕入値DI値は、21年上期(36.7)から3期連続で上昇したことになります。
 調査モニターからは、仕入れ材料費や燃料費、光熱費等の値上げの実態が多数寄せられています。「毎月のように材料仕入れが値上がりする」(小売り)、「ほとんどの資材が引き上げられた」(印刷)、「材料代の高騰が激し過ぎる」(土木工事)などの切実な声が上がっています。
 22年下期は、経営対策としての「販売価格(単価)引き上げ」の回答割合が高まり、単価・マージンDI値(0.6)も初めてプラスに転じるなど、中小商工業者の経営努力が続いています。にもかかわらず、22年下期の利益DI値は悪化しました(▲58.7)。個々の中小商工業者の経営対策を上回る急激な物価高騰の影響が経営を直撃し、利益の悪化につながったものと推察されます。
 原材料等仕入れ値の上昇分の価格転嫁と売り上げ確保が重要な経営課題となっています。中小商工業者の実態に寄り添った、政府や自治体による資金繰り支援策や直接支援策が求められています。
 1年後に実施予定(23年10月)の消費税のインボイス(適格請求書)制度が、中小商工業者の経営にどのような影響を及ぼすかについても明らかにしています。インボイス制度の実施で、課税事業者が「免税業者に課税業者になってもらうよう要請しなければならなくなる」との回答割合が増え続けています。免税事業者の多くは、課税事業者になった場合の消費税や実務の負担増加を懸念しています。

ひとこと欄から

○立方メートル単価5万円だった木材が、13万5千円に。ベニヤ類も倍に(北海道・総合建築)
○仕入れ材料のほとんどが値上げされ、商品価格も値上げせざるを得ないが、客離れが心配(長野・飲食)
○材料、灯油・ガソリン、溶剤など7~12%上がっているが、料金は上げられず、客数も減少(千葉・クリーニング)
○運賃が上がらず、経費ばかりが増加(兵庫・運輸)
○元請けからインボイス登録するように言われた(愛媛・職別工事)

DI値

 ディフュージョン・インデックスの略語。企業の景況感などを「良い」「悪い」といった定性的な指標で数値化したもの。「良い」と回答した企業割合(%)から「悪い」と回答した企業割合(%)を差し引き、プラスなら改善、マイナスなら悪化等と判断する。景気局面等の判定に用いる。

2022年下期営業動向調査

 調査期間=8月18日~9月17日
 有効回答=720人(調査対象モニター数・47都道府県1188人、有効回答率60.6%)
 業種構成=建設業(建築設計含む)30.9%、食料・繊維・木製品・印刷関連製造業10.0%、金属製品・機械器具製造業13.9%、流通・商業19.0%、宿泊・飲食業7.9%、サービス業18.3%
 事業形態=個人62.5%、法人37.5%
 事業規模(事業主本人を含む全従業者数)=1人19.2%、2~3人42.6%、4~5人16.7%、6~9人13.1%、10人以上8.5%

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