「1日当たり5千円、2020年1月1日までさかのぼって、新型コロナにかかった個人事業主に国民健康保険（国保）の傷病給付金を支給する」―。新潟県聖籠町議会は9月22日、本会議で「国民健康保険に加入している個人事業主を対象とした新型コロナウイルス感染症の傷病給付金」の創設を決定しました。新発田民主商工会が7月11日、西脇道夫町長に要請していたものです。

　民商の聖籠支部長も務める中村登会長＝建築＝は「オミクロン株が流行し始めてから、支部の仲間の感染が耳に入るようになった。多くは一人親方だから、10日も20日も休んだら生活できなくなる。高い国保税を払っているのに、事業主にだけ補償がないのは理不尽だと思っていた」と話し、「傷病給付金ができて良かった。さかのぼって申請できるので、感染した仲間に活用を呼び掛けたい」と喜びました。
　昨年12月と今年7月の民商の町への要請に同席し、町議会でも傷病手当創設を求めてきた中村恵美子町議（共産）は「議会で『町民1割以上が新型コロナに感染する中で、事業主にだけ補償がないのはおかしい』『隣接する新発田市では既に個人事業主を対象とした傷病給付金がある』などと何度も提案した。西脇町長が補正予算で提案し、反対意見もなく採択された」と話します。

新発田市の制度　4万円が給付に

　民商はこの間、「せっかくできた制度を使わないのは、もったいない」と新発田市が創設した「新型コロナウイルス感染症傷病給付金」（日額4千円・上限10万円）の活用を呼び掛けてきました。
　浅田加代さん（仮名）＝スナック＝は「民商ニュースを見て、事業主が対象の新型コロナの傷病給付金があると知った。申請書類などを民商と一緒に作成したけれど、簡単だった。自営業者は働かないと収入がない。申請から約2週間で4万円が給付され、助かった。せっかく民商の働き掛けでできた制度なのだから、大いに使ってほしい」と話します。
　民商は、新型コロナに感染した被用者に対する傷病手当金について、白色専従者も対象であることを市に確認。併せて活用を呼び掛けています。

聖籠町の「国民健康保険に加入している個人事業主を対象とした新型コロナウイルス感染症の傷病給付金」

　支給対象者は①事業所得により生計を立てている方で、新型コロナウイルスに感染した方②感染の療養のために事業を営むことができず、その期間が3日間を越える方―です。支給額は、1日当たり5千円。事業を営むことができない期間のうち、事業を営むことを予定していた日数分（初日から3日間は除く、最長20日まで）を掛けた金額です。対象期間は、2020年1月1日～22年12月31日まで。申請手続きは、所定の申請書に、事業収入等を証明する書類、療養期間を確認できる書類を添えて町民課窓口に提出します。

コロナ傷病手当金　12月31日まで　国の支援を延長

　厚生労働省は9月8日、都道府県に「国民健康保険及び後期高齢者医療における新型コロナウイルス感染症に感染した被用者等に対する傷病手当金の支給に係る今後の財政支援について」を発出し、傷病手当金の支給に対する財政支援の期間を12月31日まで延長することを発表しました。
　財源は、今年度の国保の特別調整交付（補助）金または、後期高齢者医療の特別調整交付金で措置する予定です。対象者や支給額などについては、「新型コロナウイルス感染症に感染した被用者に対する傷病手当金の支給等について」（2020年3月10日、厚労省事務連絡）など、これまで示している通りとしています（別項）。
　傷病手当金は、自治体が条例を制定すれば、国から全額の財政支援を受け、給付できます。

別項

▽対象者
　国民健康保険および後期高齢者医療の被用者のうち、新型コロナウイルス感染症に感染または、発熱等の症状があり感染が疑われる者で、労務に服することができなかった期間の給与等の全部または一部が支給されない者

▽支給要件
　働けなくなった日から起算して4日目以降の就労できなかった勤務予定期間

▽支給額
　（標準報酬月額の平均額÷30）×（3分の2）×日数

▽白色申告や青色申告の専従者について
　倉林明子参院議員（共産）が20年5月14日の厚生労働委員会で、白色・青色の申告形態を問わず、全ての家族従業者が財政支援の対象であることを確認し（20年5月25日号4面既報）、同19日付の事務連絡「新型コロナウイルス感染症に感染した被用者等に対する傷病手当金の支給に関するQ&Aの改訂について（その2）」でも、その旨を明らかにしています。