宮城県石巻市議会は9月21日、「インボイス制度の実施延期を求める意見書」を採択しました。石巻民主商工会(民商)と石巻市建設総合組合の2団体が請願していたもの。
民商は8月22日、「中小業者の声を伝えよう」と各会派に要請。2会派が説明を聞いてくれ、14人と最大会派の「ニュー石巻」には資料を手渡しました。
同会派の一人、木村美輝市議は民商会員で、今年5月の市議選で初当選しました。漁業にも従事している木村議員はこの間、民商の仲間とともにインボイス制度の問題について学習し、「実施されたら、大変なことになる」と感じていました。木村議員は会派の集まりで2時間かけて制度の内容と問題点を説明。「『中止』の表現を削除すれば、頑張れるかも」と木村議員から連絡が入り、「実施中止・延期」を「実施延期」に変更して請願書を提出しました。
請願を付託された総務委員会が開かれる3日前、水澤冨士江市議(共産)から「『ニュー石巻』が賛同するようだ」との連絡が入りました。水澤議員は、「賛成」を見送ろうとしていたはやて第2会派「石巻颯の会」(7人)にも働き掛け、同会派から「再検討する」との連絡が入るなど、事態は急展開しました。
9月6日に開かれた委員会では、民商の佐々木寿朗事務局長が請願趣旨を説明。「インボイス制度は、免税事業者だけでなく、課税事業者の営業にも多大な影響を与える。コロナ禍で苦しんでいる時期に実施すべきでない」と訴えました。公明党の議員から「公正な税制を担保する上でメリット・デメリットがあるので、継続審議にすべき」旨の意見が出されましたが、佐々木事務局長は「管理体制を強めたい国にとっては、メリットがあるといえるかもしれないが、中小業者にとっては、複雑な実務対応と新たな増税で、何一ついいことはない」と主張。委員会では賛成多数で採択され、本会議では公明党の3議員が反対しましたが、25人が賛成し、意見書が採択されました。
女川町にも陳情
9月26日には女川町に陳情しました。女川支部の伊藤勇支部長=木工、兼重恵副支部長=理容、佐々木事務局長、阿部律子町議(共産)が参加。応対した町議会の佐藤良一議長は「インボイス制度は全ての事業者に負担がかかることなので、コロナ禍での実施は検討すべきもの」と陳情の趣旨に賛同を寄せました。12月議会で審議されます。
民商では「秋の運動の中で、登米市や東松島市にも働き掛け、民商が担当する全自治体で意見書が採択されるようにしよう」と話し合っています。