各地の民商が要請 自治体独自の支援策を 「生の声」歓迎、制度創設・改善・拡充も|全国商工新聞

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 「民商の自治体要請で支援金が改善された」―。各地の民主商工会(民商)や県商工団体連合会(県連)は、コロナ禍や物価高騰に対応した独自支援策を求めて、担当する自治体に要請や懇談を繰り広げています。中小業者の厳しい実情を伝える「生の声」は歓迎され、制度の創設・改善・拡充を勝ち取っています。

前橋民商の要請実る 群馬県前橋市の支援金10万円 申請期限延長 運転代行業者も追加

前橋市の緊急支援金制度について、業者の実態を示して運用の改善を求める前橋民商の役員ら(奥)

 群馬県前橋市の「原油価格・物価高騰緊急支援金」(一律10万円)の申請期限が9月30日まで延長され、対象業種に運転代行業者が追加されました。いずれも前橋民商が繰り返し要望してきたことで、運転代行業の会員からは「飲食店にお客が戻らず、仕事がないときは本当に助かります。民商のおかげです」と喜びの声が寄せられています。
 民商は7月1日と8月1日の2回、緊急支援金制度の運用で市に申し入れ、業種の拡大と申請の簡素化を要望。申請書類にある個人事業主の収支内訳書の添付について「無いものは提出しなくてもよい」との回答を引き出してきました。
 今回の成果について、副会長の中山誠二さん=ピアノ調律=は「担当課との2回の交渉で、行政は業者の実情をつかんでいないと感じた。運転代行業者が、飲食店の時短で最も打撃を受け、その後もお客が戻らず、原油高騰の影響を強く受けていることや、飲酒運転を防止している社会的役割があることを伝え、対象業者に加えることを強く要望しました。対象業種に自動車運転代行を追加できたことは、民商が交渉した成果だ。会内外に知らせ『秋の運動』の力にしたい」と語ります。
 申請期限(8月31日)が迫った8月29日には、その時点で申請者数が約4千人にとどまり、市が試算した対象業者6500人に届いていないことから、「制度の期限延長はあるのか」と問い合わせました。担当課長は「申請期限の延長は未定だ。期限延長も含め、今後検討したい」と回答したので、「対象業者全てに行き渡るよう」期限の延長を求めていました。
 民商はこの間、支部で申請相談会を開き、緊急支援金の活用を進めようと話し合い、合同開催も含めて延べ27回開催してきました。支部役員が手分けして会員に参加を呼びかけ、146人が申請書を提出しました。相談会で資料が準備できて「民商で良かった」との感想も寄せられています。
 持続化給付金や事業復活支援金のときは、事務局を中心に申請を援助しましたが、緊急支援金では役員が申請を援助する支部が増えました。自ら申請を済ませた支部役員が、参加者の申請資料をチェックし、申請用紙の記入を手助けしました。今後も「対象となる会員を一人も取り残さないよう」、支部役員中心の相談活動をさらに強めていこうと話し合っています。

神奈川・小田原民商 交付金活用し直接支援を 県連と2市8町に要請

開成町に交付金を活用した業者支援制度の創設を訴える小田原民商の松浦隆雄会長(奥右)と県連の富塚昇会長(その左)

 神奈川・小田原民商は8月26日、県連とともに担当する2市8町(小田原市、南足柄市、中井町、大井町、開成町、松田町、山北町、箱根町、真鶴町、湯河原町)に要請を行い、「地方創生臨時交付金を活用し、中小業者の営業と生活を守る施策」の実施を求めました。行動には民商の松浦隆雄会長、県連の富塚昇会長、三浦謙一事務局長が参加しました。
 要請事項は、①原材料や燃料費及び水道光熱費などの負担を軽減し、事業継続を支援する制度を創設すること②コロナ前との比較で売り上げが減少している中小業者の存続を支援する給付金や固定費補助などの制度を創設・拡充すること―の2点。事前に要請書と日程を知らせる「お願い」文書を各自治体の担当部署に郵送し、訪問時に趣旨を説明することで、スムーズな意見交換を行うことができました。
 「商工会や信用金庫などと情報交換し、施策に反映させている。業者の生の声を届けてもらい、ありがたい」(小田原市)、「9月議会に補正予算を提案することにしている」(中井町)など、多くが好意的に受け止めていました。
 一方で、中小業者への直接支援に理解は示すものの財源が限られており、「プレミアム商品券を計画している」という自治体が多数を占めました。真鶴町では、「全住民を対象に実施し、町内の小規模事業所で利用できる商品券になっている」など、地域経済の循環に努力する姿勢も示されました。
 松浦会長は「自治体も振興策を模索しており、中小業者の生の声を自治体に届け、実現を迫っていく取り組みが求められている」と述べ、自治体要請を継続的に行う重要性が明らかになりました。

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