神奈川県第3位の人口72万人超を擁する相模原市は8月31日、新型コロナウイルスに感染した個人事業主に傷病見舞金を支給することを決定しました。9千万円を盛り込んだ補正予算を同日、市議会が可決。相模原民主商工会(民商)が繰り返し要望していたことが実りました。
傷病見舞金の支給額は1人当たり7万円。①新型コロナウイルス感染症に係る検査を受けた日に国民健康保険(国保)または後期高齢者医療制度の被保険者である②事業所得、山林所得または雑所得(公的年金等所得を除く)がある③2022年4月1日から9月30日までの間(10月以降も被用者対象の傷病手当金の制度を継続する場合は延長予定)に新型コロナウイルス感染症に感染(陽性)し、かつ療養のために事業を営むことができなかった期間がある④被用者を対象とした傷病手当金の支給対象とならない⑤22年度に傷病見舞金の支給を受けていない―の五つの条件を全て満たすことが必要です。
同市は20年5月、新型コロナウイルスに感染し(もしくは発熱等の感染疑い)、休んだ場合、傷病手当を支給する制度を緊急的・特例的に創設しましたが、対象は被用者(労働者等)であり、個人事業主は対象外でした。
民商はこの間、個人事業主を対象とすることや一時金制度(傷病見舞金)創設を求めてきました。しかし、国保課は「傷病手当金の算定に必要となる休業期間や、休業に伴う収入減少を客観的に把握することが困難であるため、全ての被保険者に傷病手当金を支給することは難しい」(20年)、「国保財政が厳しく、傷病手当金拡充や一時金制度創設は難しい」(21年)と難色を示すばかりでした。
ところが、今年7月14日の対市交渉で前向きな回答があり、本村賢太郎市長はその後の定例記者会見で「個人事業主が新型コロナウイルス感染症に感染した場合に傷病見舞金を支給する」と発表。9月議会で内容などの詳細が公表されました。今年4月まで、さかのぼって申請を受け付ける予定です。
民商は毎年6~7月、国保課職員を民商会館2階に招き、高過ぎる国保税の引き下げなどを求めて交渉し、集団減免申請を行っています。98年から取り組み始め、今年で24年目です。婦人部が「なぜこんなに国保税が高いのかを学習しよう」と職員を招いたことがきっかけでした。その中で「病気、けがでも安心して休めるよう、国保に傷病手当の創設を」と要望してきました。
下地勝己会長=建築=は「新型コロナの感染を対象にした傷病見舞金だが、長年のわれわれの要望が実って、うれしい。引き続き、国保や後期高齢者医療保険の傷病手当の創設を求めたい」と話しています。