政府は8月26日、安倍晋三氏の「国葬」(9月27日予定)の費用として、今年度予算の一般予備費から約2億5千万円を支出することを閣議決定しました。今回決定した費用は、葬儀の参加者を6千人程度と見込み、会場設営の約2億1千万円と会場の借り上げ料の約3千万円。警備費用や参列する海外要人の接遇費などは含まれず、最終的には数十億円に膨らむと報じられています。
国葬は、天皇主権の下で時の政権が政治利用目的で開催し、戦時体制を強化する狙いで執り行われました。国葬の賛否を問う世論調査では、「反対」が過半数を占めており、血税を国葬に支出することは絶対に許されません。
全商連は7月22日、談話「安倍元首相の『国葬』執行を決定した岸田政権に断固抗議する」を発表。国葬への財政支出に対し、「憲法第85条(国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする)、第83条(国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない)に反する憲法違反」と指摘。法的根拠もなく実施される国葬に税金を使うことは、「政府による税金の恣意的運用」と抗議しました。
「国葬反対」が多数を占めるのは、「アベ政治」に対する批判的意見がいまだに渦巻いているからです。立憲主義破壊による「戦争する国」づくりを強行し、沖縄をはじめ平和を求める多くの国民の願いに背を向けました。経済政策「アベノミクス」も、格差と貧困を拡大させ、2回にわたる消費税率引き上げや、異次元の金融緩和で異常円安と物価高騰を招き、国民生活や中小業者の生業を苦難に陥れました。「モリ・カケ」「桜を見る会」などの国政私物化、国会での100を超える虚偽答弁など、日本社会に多くの禍根を残した「アベ政治」を礼賛することに、多くの国民が納得できません。
世論に押された政府は、国民に弔意を押し付ける閣議決定は見送りました。しかし、マスメディアなどを使って国葬ムードを高めようとしており、半旗・弔旗の掲揚や黙とうなどを強要する危険は払しょくされません。
市民と野党の共同で「国葬反対」の世論を広げ、中止に追い込みましょう。