全商連第1回理事会決議|全国商工新聞

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 全国商工団体連合会は8月28日、第1回理事会を開き、次の決議を採択しました。

危機打開、改憲阻止!
全自治体要請とインボイス中止の運動強め、年間増勢に挑戦を

一、直面する政治経済の焦点

 いま、多くの中小業者が危機的状況へと追い詰められています。企業物価指数が17カ月連続で前年を上回り、物価高騰が続いています。コロナ感染第7波によって150万人超が自宅療養を強いられる事態です。異常気象による豪雨被害も相次いでいます。
 ところが、第2次岸田政権が掲げた重点政策の第1は、敵基地攻撃能力を含む軍備の拡大です。新年度予算編成で軍事費2倍化へと突き進むなら、大増税と社会保障削減など新たな苦難が国民に押し付けられます。コロナ対策では「新たなフェーズへの移行と対応の強化」というだけで、自治体と個人任せの姿勢は変わりません。物価高・異常円安の原因となっている「異次元の金融緩和」の継続を宣言し、国による中小業者への直接支援は3月で打ち切られたままです。再生可能エネルギーへの転換よりも原発や火力発電の依存を強め、福島第1原発で増え続けるアルプス処理汚染水の海洋放出を強行しようとしています。エネルギーの90%、食料の62%を輸入に頼り、賃金は上がらず、成長もできず、競争力さえ低下させてきた自公政治の責任は重大です。
 参議院選挙で改憲派の議席が3分の2を超えました。しかし、反社会的行為を繰り返してきたカルト集団・旧統一協会と癒着し、憲法に反する安倍元首相の「国葬」を決めるような政権に改憲を論じる資格はありません。「広島出身」と言いながら、ヒロシマ、ナガサキの原爆忌で「核兵器禁止条約」にひと言も触れない岸田首相に怒りと失望が広がっています。旧統一協会との関係隠しを狙った姑息な内閣改造も失敗し、不信感が高まっています。
 緊急に求められているのは、経済・コロナ対策を前面に、中小業者の生きる道を開くことです。参議院選挙で掲げた政策や総会で採択された「私たちの要求」の実現をめざします。第55回総会方針を学び、危機打開の運動と会勢の前進に力を合わせましょう。

二、要求運動の重点

1、物価高騰・コロナ危機打開の運動

 物価高騰とコロナ禍による廃業を全力で食い止めます。実態に基づく政策提案と自治体要請の大切さを明らかにした「物価高騰・自治体対策ウェブ交流会」も参考に、地方創生臨時交付金(コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分)を活用した、使い勝手の良い中小業者支援策の実施を自治体に迫ります。施策をニュースやチラシで知らせ、学習会や申請相談会を旺盛に展開します。物価高騰アンケート調査を全会員規模で取り組み始めている県連もあります。国・自治体に中小業者の現状や要求を届け、直接支援策の創設・改善・継続を要求します。
 全民商で経営継続支援の相談会に取り組みます。緊急・切実な資金繰り要求に応えながら、「同一制度以外も借り換え可能、20年返済、10年据え置き、完全無利子の融資」や返済の猶予・免除など、リーマンショック時を上回る金融支援策を国・自治体に提案します。政府は5月11日、官民金融機関に対して「返済猶予や条件変更を含む資金繰り相談に丁寧かつ適切に対応する」よう要請しています。金融機関・信用保証協会に積極的な資金繰り支援を働き掛けます。
 10月から改定される最低賃金への対応も求められます。オンラインでの開催を含め、業者同士が自分の仕事と工夫を紹介し合う経営交流会を各地で進めます。秋以降に開催する全国商工交流会実行委員会に合わせて「経営意欲を高め合うオンライン交流会」を計画します。
 全国中小業者団体連絡会が主催する11月6日の「物価高騰対策、消費税減税とインボイス中止を求める大集会」(東京・芝公園)と7日の国会議員・省庁要請に署名と要求を結集します。この行動に呼応して、各地で業界団体や地元国会議員との懇談、集会・デモに取り組みます。

2、消費税減税、インボイス中止の運動

 世界では、消費税に当たる付加価値税減税に踏み出す国と地域が96へと広がっています。その特徴は、コロナ禍や物価高対策として実施されていることです。「日本でも消費税減税を」の大宣伝と共同を広げ、消費税減税に反対する自民党と公明党を追い詰めます。
 来年10月のインボイス制度実施まで1年となる中、財務省・国税庁や総務省がインボイス発行事業者の登録を促し、取引先からの働き掛けも強まっています。しかし、日本経済が低迷し、中小業者の危機が広がるもとで、インボイス制度実施に反対する声と行動が業界を超えて広がっています。
 7月末時点でインボイス登録は対象者の7%強に留まり、多くが「インボイス自体を知らない」「対応に踏み切れない」状態です。「消費税対策を民商で考えたい」との声が、全商連にも寄せられています。自主計算・自主申告の運動と結び、「網の目学習会」などを各地で開き、会内外の中小業者が、しっかりと対策を考えていけるよう支援します。新たに築いた共同をさらに発展させ、宣伝・署名・対話や国会議員要請、地方議会からの意見書送付を求める活動を進めます。
 秋の運動に向け、消費税減税、インボイス中止の世論を広げる新たな宣伝物を作成します。この間取り組んでいる消費税減税とインボイス中止を求める二つの署名の請願趣旨を改訂し、引き続き強めます。管理・統制とデジタル化が進む税務行政への対策を盛り込む自主計算パンフ(2分冊)の活用を進めます。3・13重税反対全国統一行動の意義を学び合い、成功させるよう準備を始めます。倉敷民商弾圧事件・禰屋裁判の勝利に向けて全県で支援を強めます。

3、平和と民主主義を守る運動

 憲法を守り生かすたたかいが重大局面を迎えます。大事なことは、国民の多くは改憲を望んでいないことです。NHKが行った参議院選挙の出口調査で「投票で重視した政策」は「経済」45%、「社会保障」15%、「外交安全保障」12%、「新型コロナ」10%に対して、「憲法改正」は5%です。共同通信の世論調査(7月11、12日)では、改憲を「急ぐ必要はない」が58・4%で半数を超えています。「戦争をさせない、9条を変えるな」の一致点で、国民の多数派を結集することが大切です。
 「戦後70年・恒久平和を求める見解」や秋に作成する憲法リーフを活用して、班・支部での話し合いや業者団体との懇談を進め、戦争の実相と自民党改憲草案の危険な内容を知らせます。市民アクションが提起する憲法署名に取り組み、改憲阻止の世論と共同を広げます。
 核兵器使用をほのめかすロシアの「威嚇」を断じて許すことはできません。核兵器を持っているから守られるという「核抑止論」の無力さが鮮明になる中、核軍縮を求める国際的な努力が強まっています。「核兵器のない世界への決意」を発信した核兵器禁止条約第1回締約国会議や、核兵器廃絶に向かう国際的な運動の展望を明らかにした原水爆禁止2022年世界大会の成果に学びます。NPT再検討会議で示された圧倒的多数の国際世論を確信とし、「核兵器のない世界」を求める運動の発展に力を合わせます。
 7年に及ぶ市民と野党の共闘は、地域で信頼と連帯を広げてきました。平和と暮らしの願いに応える国民運動を発展させ、共闘の再構築を支援します。2023年には統一地方選挙があります。一つ一つの政治戦を改憲阻止・切実な要求実現の機会と位置付けてたたかいます。

三、組織建設の重点

1、70年の歴史を新たな前進の糧に

 第55回総会方針を指針とし、「運動しつつ学び、学びつつ運動する」取り組みを強めてきました。参議院選挙を切実な要求実現の機会とし、政治戦をたたかえる民商建設を推進しました。コロナ禍・物価高騰への対策や消費税減税とインボイス中止、改憲・大軍拡反対の世論と運動を広げ、会内外の信頼を「減らさず増やす」持続拡大の力にしてきました。
 総会方針学習を通じて、全商連創立70周年からの新たな前進と継承・発展をめざす探求が始まっています。第1次「成長・発展目標」を正面から討議したところで、年間増勢への決意を固め合い、署名と商工新聞で運動を組織する手立てや相談活動の担い手増やし、班・支部活動の再建・強化などが具体化されて実践に足を踏み出しています。商工新聞を前面に、役立つ情報を広く知らせて運動を推進し、組織の力を生かした学習相談を持続拡大に結実させる努力も始まっています。
 総会では、「民商・全商連の70年」の大学習運動も呼び掛けられています。幾多の困難が横たわる中でも70年の歴史に学ぶことで、運動に参加している誇りと確信を培い、新たな前進への糧にすることができます。役員と事務局員は、第2回理事会までの約1年間に率先して独習を進めるとともに、歴史に引き寄せて「人生・商売・民商」を語り合う機会を広げます。
 秋から春にむけて、会員同士の結び付きを強め、組織の力を生かした学習相談と自主計算活動を推進します。行動に足を踏み出し、「運動の共同の推進者」である役員会と事務局の相互信頼を深めます。

2、毎月の持続拡大で、年間増勢に挑戦を

 すべての民商が22年12月末と23年3月末での読者・会員の年間増勢に挑戦します。全国と地域の運動を結ぶ商工新聞の役割や要求実現の保障となる会員拡大の意義を深め、毎月の持続拡大への計画・実践・検証・工夫を強めます。支部・民商・県連で統一行動や拡大リレーなど拡大の独自追求を推進します。
 秋と春に全会員への声掛け・対話を広げて潜在化する要求を掘り起こします。「目に見え、耳に届き、口コミやSNSで話題となる」取り組みを工夫し、元気な姿を地域に知らせます。商工新聞の紙面を紹介し合う機会を増やし、読者前面の拡大と「読者から入会」の取り組みを推進します。自営業や小企業、フリーランスに学習相談を広く呼び掛け、個別相談もいかして仲間に迎え入れます。
 商工新聞中心の活動と班・支部建設を軸に、会員の活動参加を増やします。組織配達・組織集金を高め、自治体施策や民商の実績、仲間の奮闘する姿を伝えるニュースづくりを推進します。
 総会方針学習の「特別期間」を重視し、コロナ禍での「制度学習大綱の特別措置」も生かして、豊かな学習機会を提供します。「ようこそ民商へ」のパンフ・DVDを活用し、新会員に民商の多彩な魅力を伝えます。「班・支部活動の手引き」に学び、班長や支部役員を増やして会員の班・支部所属率を高めます。
 「基本調査」や「事後調査・税金等アンケート」の結果、月末現勢の累計などで要求運動と組織建設の一体的推進にむけた分析を強め、「地域にどんな民商をつくるのか」を討議で深めます。
 県連は、民商間の相互信頼にも留意しつつ、要の相談活動や自治体要請の教訓を広げて仲間を増やす意欲を高め合えるようにします。民商の自立した運営を尊重しつつ、役員の育成や小規模民商での討議・学習を援助します。全商連第31回事務局員交流会を踏まえ、全員発言を基本とした県連主催の事務局員交流会の開催を広げます。全商連は3年ぶりに新事務局員学校(22年12月)をウェブ併用で開校します。
 秋の運動は、9月1日を起点に12月5日まで月曜日を基本として「週報」で集約します。

3、総合力の発揮で、運動と組織の発展を

民商・全商連運動が会員と家族の理解を得て、豊かな総合力を培うためにも、助け合い共済や婦人部、青年部の諸活動との相乗的な力の発揮が強く求められています。
 全商連共済会は「コロナ禍だからこそ」と制度の運用を改善し、自宅療養への入院見舞金や濃厚接触者への安静加療見舞金も届けて喜ばれています。「会員と配偶者は無条件加入」の優位性や、命と健康を守る活動の魅力、健康実態の告発による社会保障改善への貢献を広く伝え、助け合いの輪を広げます。
 全婦協は「全国業者婦人・実態調査」運動を生かして国・自治体への要請に取り組みます。女性の力が正当に評価される社会への理解を広げ、全婦協第34回総会(10月23日)を結節点とする取り組みを支援し、婦人部の拡大・強化につなげます。
 全青協は、第16回業者青年交流会(9月18、19日)を感染状況に応じウェブ活用も工夫して開催します。県青協での多彩なプレ企画が、商売に魅力と可能性を見出そうとする業者青年を励ましています。スタート・アップや事業承継での情報交流や要求相談を支援することで、民商運動への信頼と活力を高めることができます。青年対策部など民商と青年部の「架け橋」を増やし、運動の継承・発展に生かします。

4、運動への理解と納得を広げる財政活動を

「民商・全商連の財政活動を強めるために」(第53回総会・第6回常任理事会で確認)では、会員の総意を結集し、役員会と事務局の団結を強め、県連で足並みをそろえる立場から、基本的な考え方を明らかにしています。「民商・全商連の財政はどう支えられてきたのか」や「運動への理解と納得をベースにする」「財政活動の5点改善を堅持する意義」などが示され、その一貫した探求が民商・全商連の前進を好まない勢力による攻撃をはね返す力にもなってきたことが強調されています。
 連合会の団体自治への正しい理解を広げるとともに、「基本調査」結果の分析を強めて、運動体にふさわしい財政活動の改善に取り組みます。

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