原発再稼働狙う岸田政権 再エネ・省エネ進め経済成長を|全国商工新聞

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 今年は、異例の早さで梅雨が明け、6月に40度を超えるなど、厳しい暑さが続きました。東京電力管内では6月末の4日間、「電力需給逼迫注意報」が出され、節電が求められました。環境省は熱中症警戒アラートを発表し、クーラーなどを使うことを呼び掛けましたが、東京都内では3日までの1週間に、熱中症とみられる症状で1568人が救急搬送されました。エネルギー自給率の向上を怠ってきた国の悪政により、市民の命や健康が脅かされています。
 日本のエネルギー自給率は10%程度という異常な低さです。自民党政権はこれまで、石炭火力と原子力に依存し、豊富にある再生可能エネルギーの活用に背を向けてきました。最近の燃料価格高騰は、ロシアのウクライナ侵略などによる海外の化石燃料市場が混乱したことも影響しています。今こそ、再エネの優先利用を原則とし、最大限に使える電力網を整備しながら自給率向上を急ぐべきです。併せて節電や建物の断熱化、電力利用の効率化など省エネも推進する必要があります。
 しかし、岸田政権は、電力不足や燃油高騰を口実にして、原発の「最大限活用」を打ち出し、再稼働を推進する構えです。東京電力福島第1原発事故の教訓を置き去りにした危険な逆行は許されません。
 2020年度の日本の発電電力量は約1兆キロワット時ですが、環境省の調査では、再エネの潜在能力は約7兆5千億キロワット時と推計。現在の使用量の7倍以上で、再エネでエネルギー自給率を賄える条件は十分にあります。
 研究者らで作る「未来のためのエネルギー転換研究グループ」によれば、30年までに再エネで電力の44%を賄うエネルギー転換と省エネにより、年間約254万人の雇用創出、累積205兆円の国内総生産(GDP)増が可能としています。小規模で地域に密着した再エネの利活用や省エネ技術の開発などは、中小業者の仕事起こしにつながります。
 再エネ・省エネの推進は、気候危機打開にとって緊急課題ですが、同時に地域経済を成長させる道でもあります。中小業者が脱炭素社会の担い手として活躍できるよう、事業を準備し、支援強化なども求めていきましょう。

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