共通番号いらないネット 宮崎 俊郎さん
6月30日、マイナンバーカードを健康保険証にひも付けすると7500ポイント、給付金など「公金受取口座」にひも付けすると7500ポイント(いずれも1ポイント1円換算)の申請手続きが開始された。この手続きには「マイナポータル」にアクセスすることが必要だが、アクセスが集中してつながらない状況が出ているという。
新規マイナンバーカード取得に対する5千ポイント付与は、すでに今年の1月から開始され、合計2万円と打ち出されている。このポイント付与は第2弾である。
国民情報集め 一元管理狙う
マイナンバーカードの交付枚数は4月1日現在、5480万枚、対象人口の43%。カード交付が2016年に開始されてから1年後でも1140万枚、9%。3年後の19年でも1650万枚、13%と低迷が続いた。
そこで登場したのが20年9月に登場したカード取得者への5千ポイント付与という第1弾であり、このポイント申請期間には飛躍的に取得率がアップした。ところが申請期間が終了すると元の申請率に逆戻り。今回第2弾でさらなる飛躍をめざそうという魂胆だ。
しかし、どうしても納得できないのは、この第2弾に1兆8千億円もの税金が投入されることだ。「2020東京オリパラ」開催費用を大きく上回るこの巨額な税金投入は、不思議なことにマスコミにおいても、ほとんど問題視されていない。さらに、この間のマイナンバーカードを巡る諸施策はとても理解し難いものばかりである。
まずは健康保険証利用を巡る動き。昨年10月から「マイナ保険証」の利用が開始されたが、いまだにほとんどの医療機関で利用の環境が整備されていない。この状況に業を煮やした厚労省は医療機関の負担に応えるためにマイナ保険証を利用できる医療機関に診療報酬を4月からアップすることを決めた。これは患者側から見れば、初診で21円、再診で12円、薬の調剤で9円負担増となる。
さらに政府は6月7日に発表した「骨太の方針」においてマイナ保険証利用のためのシステム導入義務付けを盛り込み、従来の保険証の原則廃止をめざすことを明記した。
しかし、こうしたマイナンバーカード強制策は現行の番号法では違法であり、番号法そのものを変更しないと実現不可能である。番号強制付与は技術的にも簡単だが、カード強制には写真提供などの本人の協力なしに成立しない。そう簡単なことではないのだ。
普及率に応じ 交付金に格差
6月19日に総務大臣がマイナンバーカード普及率に応じ、来年度から地方交付税交付金の算定に差をつける方針を明らかにした。国はカード普及のために、ここまでやるのか。
25年度からは運転免許証利用も始まる。狙いはマイナンバーカードによる私たちのあらゆる情報の一元管理であり、「国民管理」の徹底なのだ。まだまだ保有率は半分に届いていない。来年3月までに全員に持たすという政府の野望を打ち破って、これ以上保有率が伸びないと逆に制度廃止ですら展望できるのだ。まだ「こんな危険なカードなんていらない」と頑張る自由を私たちは持っている。