インボイス事業者情報公表サイト
個人情報がだだ洩れに… 日本の異常が際立つ
国会図書館が国際比較調査
ペンネームから本名、商用利用も 諸外国では利用に大きな制限が
「個人情報が、だだ洩れになる日本のインボイス事業者公表サイトは、諸外国に比べてあまりにも異常」―。全国商工団体連合会(全商連)が、日本共産党の小池晃参議院議員事務所を通じて依頼した国際比較調査から、こんな結果が明らかになりました。
調査は、国立国会図書館の「調査及び立法考査局財政金融調査室・課」に、インボイス制度実施に伴って運用されている諸外国の「インボイス事業者公表サイト」に登録する情報や検索上の制約などの情報提供を依頼しました。8月17日付で寄せられた「調査報告書」には、EU、フランス、イギリス、カナダ、韓国の事例がまとめられています(表)。
日本では昨年10月以降、インボイス発行事業者の登録申請が始まり、登録した法人名や個人事業主の氏名、登録番号が国税庁の「インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト」で公開されています。「公表サイト」では、任意で登録する住所や屋号、通称、旧姓などの情報も公開されています。登録情報の利用規約には「複製、公衆送信、翻訳・変形等の翻案等、自由に利用できます。商用利用も可能」とされており、「公表サイト」の運営方針では事業者情報の「検索機能」や「データダウンロード機能」を提供するとしています。
受け取ったインボイスの登録番号で検索すれば、芸名やペンネームで仕事をしている人の本名や、住所が登録されていれば、その情報を手に入れることができます。プライバシーが侵害されるとして、日本俳優連合や日本SF作家クラブなど多くの団体が懸念を表明しています。
一方、諸外国のサイトでは、「本名以外の登録が可能」とする情報はなく、検索についても、EUは「付加価値税情報交換システム上では、事業者名または住所から登録番号を検索することはできない」、韓国は「事業者の姓名・名称や住所は表示されない」など、利用に大きな制限がかけられています。
日本の公表サイトの異常性は明らかであり、全商連が進める「消費税インボイス制度の実施中止を求める請願」署名を進め、制度を中止させる世論と運動を一層広げることが求められます。