「家族従業者の働き分を認めない所得税法第56条は速やかに廃止を」「コロナ禍で大好きな商売を続けるためにも、消費税は減税、インボイスは中止に」―。全商連婦人部協議会(全婦協)は10日、「所得税法第56条廃止、消費税減税・インボイス中止をめざす国会請願・省庁要請行動」に取り組み、国会内集会と省庁交渉、国会議員要請を行いました。
全国89カ所をオンラインでつないだ国会内集会には延べ133人が参加。56条廃止を求める署名約8万5千人分を提出しました。
全婦協の塚田豊子会長が主催者あいさつ。「長期のコロナ禍で、業者婦人は暮らしも営業も不安でたまらない。国は、陽性になった際の医療体制や収入補償など国民が安心できる施策を打ち出してほしい」と訴え。感染爆発でやむを得ずオンライン参加に切り替えた全国の仲間に「皆さんの熱い思いは、首都圏の役員が国会・省庁に必ず届ける」と表明しました。
岩手・一関民商婦人部の伊藤静子副部長は、インボイスへの怒りを告発。「息子や娘が建築業を継いでくれたのに、インボイスが弊害になるのでは…と心配している。仲良く仕事をしてきた免税事業者に『インボイスを発行できますか』と聞くのは、胸が締め付けられる思い」と苦しい胸の内を明かしました。
各種のコロナ給付金が事業収入とみなされ、課税される問題では3人が発言。京商連婦人部協議会の十河恵美子会長は、税務大学校のテキストを引いて「“個人が心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金は非課税”と書いてある。コロナの感染拡大は、まさに災害だ。時短営業や外出自粛の影響で、廃業を迫られた仲間が大勢いる。給付金は非課税に」と怒りを込めました。
家族で焼き肉店を経営する神奈川・厚木民商婦人部の中山光子部長は「時短営業で、100人は入れる店に2組だけの日もあった。『協力金をもらえていいね』と言われるが、税金や国保料などで3割超が課税される。給付金への課税は見直してほしい」と語気を強めました。
東商連婦人部協議会の後藤和子副会長は「地元・渋谷の居酒屋のママはコロナ禍でやりがいを失い、心身のバランスを崩し、閉店に追い込まれた。給付金は見舞金とみなして非課税に。国民に優しい政治を」と力を込めました。
日本共産党の伊藤岳、岩渕友、山添拓の各参院議員、田村貴昭衆院議員が連帯あいさつ。れいわ新選組の山本太郎衆院議員、日本共産党の小池晃、倉林明子、武田良介の各参院議員、塩川鉄也衆院議員がメッセージを寄せました。
給付金は「見舞金」に 省庁要請で実態訴え
全婦協として2年半ぶりとなる財務省要請。省側は「コロナ禍の苦労は深く受け止める」としつつも、「56条廃止は、白色申告者の記帳実態や帳簿の保存状況などを踏まえ、丁寧に検討」「消費税は社会保障の財源なので、引き下げは考えていない」「インボイス実施は十分な経過措置を取っている」「給付金は、事業収入を補填する役割なので、課税する」などと、業者婦人の要求に背を向けました。
参加者は「私たちは2年以上、コロナ禍に翻弄されている。コロナ禍も一つの災害として、『見舞金的協力金』に切り替えることを強く要望する」「インボイスで免税事業者が消費税を負担することになると、廃業に追い込まれる業者が増えることを理解しているのか」などと、中小業者の実態を訴えました。
内閣府・男女共同参画局への要請では、女性の地位向上と男女平等を推進するために関係省庁に働き掛ける参画局としての役割を果たすよう迫り、「ジェンダー平等推進の意見交換の場が必要」などと回答しました。
「56条廃止の紹介議員も」 国会議員要請
議員要請では、所得税法を扱う財政金融委員(参院)を中心に4組が8議員を訪問。鳥取県婦協が地元で懇談した自民党議員にも要請書を手渡しました。
後日、野党共闘で初当選した東京の山岸一生衆院議員(立憲)から56条の紹介議員を引き受けるとの連絡がありました。