確定申告の提出書類について、近年の変更点を整理します。表の通り、添付書類については大幅に削減されました。「添付または提示」となっているものについては、後日必要となる書類は提示し、返却を求めてください。
提出が省略された情報についてですが、特に金融機関(保険会社含む)を通じて行った取引については、既に課税庁が情報を保有していると思ってください。皆さんの申告が簡単になったということではなく、金融機関を通じて、国税庁が納税者の情報を入手しているということです。
次に、表にある「医療費通知(お知らせ)」について説明します。医療費通知には、2021年の1月から12月までの医療費が記載されているわけではなく、9月分か10月分までが記載されていると思います。そのため、記載されていない医療費については、領収書を集計し「医療費控除の明細書」に記載する必要があります。診療等を受けるために支出した交通費については、医療費通知には載っていませんので、1年分集計する必要があります。確定申告の際には、医療費控除の明細書と医療費通知の両方を提出しなければなりません。なお、医療費通知が届かないなどの場合は、領収書をまとめて、医療費控除の明細書に全て記載すれば、問題ありません。
一定の所得を超える75歳以上の高齢者の医療費について、10月から窓口負担を1割から2割に引き上げる改悪がされています。経費が漏れて所得が多くなってしまうと、窓口負担がこれまでの2倍となってしまうこともありますので、確定申告をする場合には経費の漏れがないように気を付けてください。
蛇足ですが、政府は健康保険証と個人番号カードの統合を進めていますが、保険請求のタイミングを考えれば、統合しても医療費通知に記載されるギャップは解消せず、確定申告が簡単になることはないでしょう。
新型コロナウイルスの感染拡大の抑止に資するために、本年も4月15日までに申請をすれば申告・納付期限の延長ができるようになりました。この申請をした場合の納付期限ですが、「申告書を出した日」となりますので、納税がある場合には納税を先に済ませるとよいでしょう。
昨今の税務署は、なるべく来署させない方向に誘導していますが、税務署に行って申告ができないということはありませんので、意味が分からないまま電子申告をするよりは、今まで通り、慣れた方法で確定申告をするのが良いでしょう。