岡崎民人全商連事務局長に聞く
新型コロナ・オミクロン株の感染が広がる中で迎えた2022年。資材高騰も追い打ちをかけ、傷ついた商売をどう立て直すか。5月の全商連第55回総会を、どんな要求運動と組織建設を進めて迎えるのか―。岡崎民人事務局長に聞きました。
コロナ廃業を食い止めて
―新しい年を迎えました。
全商連は昨年、創立70周年を迎えました。全国の仲間の奮闘と友好団体の温かい励ましの中、記念集会・式典を大きく成功させることができました。歴史を継承し、決意新たに奮闘しましょう。
2年に及ぶコロナ禍に加え、ガソリンや食料品、資材の高騰が経営難に追い打ちをかけています。
こんな時だからこそ、結び付きを大切にし、励まし合う「世直し、人助け」の民商・全商連を大きく発展させたいと思います。
―コロナ危機を乗り越える運動が求められています。
商売をどう立て直すかが焦眉の課題です。政府のコロナ対策支援は縮小され、事業復活支援金は金額も手続きも中小業者に寄り添ったものになっていません。売り上げの減少割合に見合う固定費補助の再給付や資金繰り支援、補助金の改善・拡充を国・自治体に迫ります。「誰一人取り残さない」立場で相談活動を広げましょう。
「集まって、話し合い、相談し、助け合う」活動こそ民商運動の原点です。集まりにくい場合はウェブも活用し、「商売を語る会」などで知恵と工夫を交流し、活路を開いてコロナ廃業を食い止めます。仕事と顧客確保、資金繰り、業態変更など変化に対応し、困難に立ち向かう力を高めます。
全自治体要請に取り組んで7年になります。政策提案を継続し、危機に直面する中小業者への支援策を継続・拡充させましょう。
2月4日には、国会前集会、省庁交渉、財務省・経産省前宣伝、議員要請など「国会大行動」を全中連として取り組みます。要求と署名を結集しましょう。
インボイス中止の声広げ
―消費税減税とインボイス中止を求める声が切実です。
2022年度政府予算案の審議が重要局面を迎えます。
税金の集め方と使い道の是正が急務です。過去最高の軍事費を削って、医療や感染症対策、中小業者支援を充実させるべきです。消費税率10%が景気を悪化させ経営を圧迫しています。富裕層や大企業を優遇する不公平な税制を正せば、消費税に頼らず46兆円もの財源を確保できます。世界では68の国・地域で日本の消費税に当たる付加価値税を引き下げています。
インボイス制度中止は、官製団体を含めた幅広い中小企業団体、税理士団体との一致点を広げています。フリーランスなどによる反対署名も広がっています。消費税率5%への引き下げとインボイス制度の実施中止に全力を挙げます。
税務行政のデジタル化の名の下に、電子申告や電子帳簿を推奨し、手書きの記録を否定する動きが加速していることにも注意を払います。
コロナ関連の給付に対する税金や国保料・税が3割を超える事態に怒りが広がっています。制度の趣旨に反する課税を許さず、減免・非課税を求めます。
2分冊とした「自主計算パンフレット」を積極活用し、税金相談員を増やして、自主計算・申告を進めます。53回目を迎える3・13重税反対全国統一行動は、自主申告運動への弾圧をはね返すとともに、地域の広範な団体との連携を強めます。法人申告の会員にも呼び掛け、工夫して成功させましょう。
大軍拡・9条改憲許さず
―憲法改悪阻止など平和・民主主義を守る取り組みも重要ですね。
岸田政権が、憲法9条の改憲を狙う危険な新局面が生まれています。「敵基地攻撃能力の保有」やGDP(国内総生産)比2%への軍事費増額など大軍拡を進めようとしています。維新の会と国民民主党が「憲法改定論議の加速」で合意していることも重大です。
総選挙で交わされた野党共通政策には「コロナ禍に乗じた憲法改悪に反対する」ことが明記されています。
市民と野党の共同を発展させ、「9条改憲NO!全国市民アクション」が呼び掛けた「改憲発議に反対する全国緊急署名」を広げましょう。
7月には参議院選挙、秋には沖縄県知事選挙が行われます。「オール沖縄」の団結、県民の「新基地ノー」の決意を共有し、全国の支援で辺野古新基地建設を中止させます。
ヒバクシャと市民の粘り強い運動で核兵器禁止条約が発効して1年を迎えます。唯一の戦争被爆国・日本政府に批准を迫るたたかいも大きく広げます。
全ての組織が年間増勢を
―「春の運動」(1~3月)での仲間づくりも期待されています。
中小業者が役割を発揮できる社会を実現するには、道理を掲げ、団結を強め、国民共同を推進する民商・全商連が大きくなることが大切です。地域にどんな民商をつくるのか展望を語り合いましょう。
「困った時には力になる」のが民商です。コロナ対策の相談では、「民商があって本当に良かった」の思いと信頼が広がりました。積み重ねてきた成果や実績、温かい仲間がいる民商を、地域の中小業者に知らせましょう。
「自営業・小企業・フリーランスも相談は民商へ」と宣伝し、全ての組織が商工新聞読者と会員で、3月末での年間増勢をめざします。
家族一人一人の思いや要求を大切にするのが民商運動です。共済会は、健康実態を告発しながら地域医療や介護を守る共同に貢献し、命と健康を守る助け合いを広げます。婦人部は、所得税法第56条廃止、ジェンダー平等への理解を広げ、「つながって、みんなで生き抜こう」と奮闘します。青年部は経営意欲を高め合い、業者青年に魅力ある民商建設を追求します。
5月には全商連第55回総会が開催されます。共同の時代をひらき、組織の成長発展に力を合わせましょう。