「自粛と補償はセット」 8兆円超す支援を実現
コロナ禍は、あらゆる業種に深刻な影響を及ぼしました。東京商工リサーチによると、2021年に入って「負債1千万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破綻は累計で2015件」です。全商連付属・中小商工業研究所の「営業動向調査」(従事者9人以下)では、中小商工業者の売上DIは、20年4月に最初の緊急事態宣言が発令される直前の20年上期(3月)の▲41.4から、同下期(9月)には▲68.5に急落しています。
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民商・全商連は「自粛と補償はセットで」と運動を広げ、かつてない規模で中小業者への支援を実施させてきました。
支援策に充てられた政府予算は、持続化給付金が約424万件に約5・5兆円、家賃支援給付金が約104万件に約9千億円で、一時支援金と月次支援金の支給額は約2050億円(7月21日現在)です。地方創生臨時交付金のうち中小業者支援分の約1.6兆円を合わせると8.2兆円を超えます。
最初の緊急事態宣言を受けた持続化給付金などは、もともと「6カ月でⅤ字回復」が前提でした。コロナ禍が長期化したにもかかわらず、国は再給付を行わず、その場しのぎの小出し、細切れの支援を積み重ねてきました。自粛に見合う支援に届かないばかりか合理性や公平さを欠き、業者間にも「分断と対立」が持ち込まれました。
請求手続きや審査にも大きな問題がありました。申請がウェブに限定されたこと、審査・給付業務が電通やパソナなどに業務委託され、実態を見ない審査が行われ、支給の遅延や不給付決定が乱発されました。
全商連は、自由法曹団とともに不給付決定に対し、行政不服審査法に基づく審査請求を計71通提出(8月23日)。しかし、中小企業庁は「両給付金は行政不服審査法の対象外」との態度を取り、任意の再審査もかたくなに拒んでいます。一時支援金や月次支援金の申請者に不備通知が繰り返し送付される「不備ループ」問題はテレビ報道でも特集されました。これに対し、約200人が行政手続法に基づく「情報の提供を求める要請書」を提出し、不備解消に向け、粘り強い取り組みを進めています。
国の不十分な補償の下、各地の民商は自治体に対し、実情に応じた、きめ細かい直接支援策を求める運動を進め、活用をサポートしてきました。
全商連の自治体調査(1788自治体を対象。回答率は61.1%)では、休業補償をはじめ、さまざまな支援措置が実現したことが明らかに(表)。「減収1割以内」「減収3割以内」など、国の制度では対象外とされた事業者への支援や、国の支援だけでは足りない支援を補う「上乗せ」などの拡充が図られました。休業補償、固定費補助、雇用補助、社会保険料負担軽減など、きめ細かい措置が講じられています。コロナに感染した際の国民健康保険(国保)傷病手当は、民商などの粘り強い運動により一部の自治体で、国が財政支援した被用者にとどまらず、事業主にも支給(傷病見舞金含む)したことは画期的でした。
今後のコロナ危機からのリカバリーについても、「予算と権限を自治体に与え、迅速かつ柔軟な支援への転換」が強く求められています。