憲法に基づく政治の回復を
「五つの緊急要求」の五つ目は「憲法を守り、平和な社会を築く」です。具体的な要求は、①改憲を阻止し、立憲主義を回復する②プライバシーを侵害するデジタル化を許さない③「核兵器のない世界」をめざす④ジェンダー平等社会を実現する―です。
9年近く続いた「安倍・菅政権」を継承する岸田文雄氏を首班とする内閣は、衆院の任期満了直前の10月4日、政策的にも「安倍・菅直系」として発足しました。岸田内閣の顔ぶれには、9条改憲など平和憲法をないがしろにしようとする改憲・右翼団体「日本会議」と一体化している「日本会議議連」のメンバーが勢ぞろいしています。松野博一官房長官は「(戦前回帰の教育勅語を)教材として用いることは問題としない」と発言しました。
防衛相に再任された岸信夫氏は、憲法違反の安保法制(戦争法)に基づき、「台湾有事」での軍事対応を明言。軍事費について「国民総生産(GDP)比1%にこだわらない」と繰り返し表明してきました。
デジタル庁を発足させて「デジタル化」の推進を口にしながら、マイナンバーカードの取得押し付けなど、個人の尊厳やプライバシーをじゅうりんする路線も堅持しています。
平和と憲法を守る要求では、立憲野党の議席を大きく前進させ、自民、公明両党など改憲勢力が狙う「憲法改正発議」を食い止めることが何より重要です。辺野古新基地建設の中止、普天間基地の無条件返還を進め、全国知事会も日米両政府に提言した日米地位協定の抜本的な改正を進めることも大切です。安保法制の廃止など、安倍・菅政権によって破壊された立憲主義を回復することも喫緊の課題です。
野党共通政策でも「憲法に基づく政治の回復」が掲げられ、「平和憲法の精神に基づき、総合的な安全保障の手段を追求し、アジアにおける平和の創出のためにあらゆる外交努力を行う」と呼び掛けています。同時に「核兵器禁止条約の批准」も盛り込まれ、全商連の緊急要求とも響き合っています。
国民監視を狙う「上からのデジタル化」が進めば、知らず知らずのうちに、自らの個人情報をコントロールできなくなります。2023年10月に消費税のインボイス(適格請求書等保存方式)制度が導入されようとしており、「電子インボイス」も画策されています。今月から始まった登録事業者の登録申請について、「登録を急がず、インボイス廃止の運動を」の声を広げることが肝要です。
ジェンダー平等社会の実現では、野党共通政策でも、「ジェンダー、人種、年齢、障がいなどによる差別を許さない」として、選択的夫婦別姓制度やLGBT平等法などの成立がうたわれ、女性に対する性暴力根絶に向けた法整備を進めることを主張しています。業者に関わる問題では、家父長制の名残である所得税法第56条を廃止する運動をさらに前進させる政治への転換を求めましょう。