「#インボイス制度反対」「#野党共闘で消費税減税」―。2023年からの消費税のインボイス制度実施に向けて、インボイス発行事業者の登録申請が税務署で始まった1日。各地の県商工団体連合会(県連)や民主商工会(民商)は、婦人部と一緒に街頭宣伝やデモ行進、業者団体訪問、税務署への申し入れなど多彩な行動を繰り広げました。ツイッターデモも行われ、出版社や書店、イラストレーター、ミュージシャンなどがツイート。各地の取り組みやツイッターデモに寄せられた声を紹介します。
富山民商 黒崎会長先頭に 社員一同でプラカード
富山民商では、黒崎忍会長=中古自動車販売=が自社前で、従業員と一緒にプラカードを掲げて宣伝。その写真を付けて「消費税減税やインボイス廃止に向かって富山民主商工会の会員さんと弊社社員一同声を上げて頑張ります!!小規模経営者に対しての悪政、悪税に対してみんなで立ち向かいましょう」とツイッターに投稿しました。
黒崎会長は、消費税廃止富山県各界連絡会でインボイス中止への賛同を求めて各団体を訪問した時、自身が役員をしている中古車オークションの組合に申し入れしたところ、「個人から車を買い入れた場合は、インボイスが免除される」という理由で署名を断られました。それ以来、インボイス廃止に向け、熱意を持って取り組んでいます。
徳島県連と県婦協 スタンディング フリーランスも大打撃
徳島県連と徳島県婦協は1日、県連と徳島民商の事務所前の国道沿いに約20人が集まり、プラカードや横断幕を持って通勤者らにスタンディング宣伝。県連の山根憲一会長は「インボイス制度は建設業の一人親方やフリーランスも大打撃を受ける。制度実施は中止すべき。業者の要求実現のため、市民と野党の共闘で自公政権に変わる新しい政権をつくろう」と力強く訴えました。
午後からは、徳島商工会議所と徳島中小企業団体中央会を訪問し、「共にインボイス制度実施を延期・中止させましょう」と呼び掛けました。
滋賀県連 集会とデモ行進 若い人が署名やシール
滋賀県連は1日、県内5カ所で22団体から50人が参加し、街頭宣伝。
JR大津駅前では「消費税シール投票」と要求プラカードを掲げてスタンディング。集会も開き、県連の喜多健吉会長は「コロナ禍で中小業者の営業と暮らしは大変な事態に追い込まれている。総選挙で市民と野党の共同で、政権交代を実現し、暮らしと営業を守る政府を実現しよう」と呼び掛けました。集会後、県庁周辺をデモ行進しました。
同草津駅前では、草津甲賀民商の大西秀治会長らが宣伝。「消費税が減税されると、みんなに恩恵がありますよ」との訴えにうなずいて署名に応じてくれる人や、若い人が積極的に署名に応じてくれる姿が目立ちました。
東近江市のスーパー前では、湖東民商が行動しました。部活帰りの高校生らが足を止めてシール投票に参加。「消費税は減税してほしい。10%は高い、本当にいやや」などと対話が弾みました。
同長浜駅前では、長浜民商と年金者組合がスタンディング宣伝。同彦根駅前では彦根民商が宣伝カーから、少し戻りつつある観光客や駅の利用客に訴えました。
北海道各界連 街頭で呼び掛け 運転手からも切実な声
北海道連も加盟する「消費税廃止北海道各界連絡会」は1日、札幌・大通公園で街頭宣伝。北海道連の石塚隆幸会長は「消費税増税とコロナ禍の中で、中小業者は営業と生活が厳しい状況に置かれている。インボイス制度導入によって、免税事業者は廃業の危機に直面する」「総選挙で消費税減税を掲げる野党連合政権をつくって、消費税5%への引き下げとインボイス制度中止を実現させよう」と呼び掛けました。
宣伝行動には、年金者組合など労働組合、生活と健康を守る会が参加し、消費税減税と「政権交代で要求実現を」と訴えました。
署名に応じた自転車タクシーの運転手は「緊急事態宣言で観光客が減って売り上げが激減。何としても消費税を引き下げてほしい」と切実な声を寄せていました。
和歌山県連 宣伝カー5台で 市全域スポット12カ所
和歌山県連は3日、統一宣伝行動を展開。6民商と婦人部を合わせて32人が参加し、宣伝カー5台が和歌山市に集結。出発式では県連の児島成一会長が「政権交代を成し遂げれば、減税とインボイス中止が実現する」と訴えました。
和歌山市全域に宣伝カーを走らせ、12カ所でスポット宣伝を行いました。参加者からは、「参加して良かった」「インボイスは絶対中止させないとあかん!」「総選挙までの運動が大事だ」などの声が上がり、各民商が「消費税減税とインボイス中止」の運動を強化することを確認しました。
鹿児島県各界連 繁華街で声上げ 飲食店の廃業100軒超
鹿児島県連も加盟する消費税廃止鹿児島県各界連絡会は1日、南九州最大の繁華街「天文館」でインボイス制度中止などの宣伝に4人で取り組みました。
天文館では、消費税10%増税とコロナによる営業自粛の影響で、すでに100軒以上の飲食店が廃業を余儀なくされています。宣伝行動では「総選挙で政権交代を実現し、中小業者への支援と消費税減税、インボイス中止を実現させましょう」と呼び掛けました。
愛知県連 起業したいけど
愛知県連は1日、名古屋市内のJR金山駅前で「インボイス抗議行動」に取り組みました。名古屋市内の2民商と県連から14人が参加し、プラカードや横断幕を掲げ、署名やチラシ配布、シール投票で帰宅途中の市民に訴え。
「これから起業する予定なんです」と駆け寄ってきた30代の男性は「この前、インボイスのことを知って、こんな制度があったんじゃ起業の夢を絶たれてしまうと危機感を持った」と署名。「インボイスって何?」と興味深そうにチラシを受け取る人が多く見られました。
「署名させて」と話し掛けてきた50代の女性は「感染症の影響で、じわじわと生活が苦しくなってくるのを実感している。せめて消費税は5%にしてもらわないとね」と口にし、署名しました。
愛知県婦協 営業努力台無し
愛知県婦協は3日、「インボイス制度に抗議しよう」とJR金山駅南口でスタンディング宣伝を実施。常任幹事を中心に9民商婦人部から21人が参加し、おそろいのピンク色のサンバイザーをかぶって、プラカードを掲げ、横一列に並んでアピールしました。
飲食店を営む加藤三重子会長が「コロナ禍で、自営業者は本当にさまざまな工夫をして、難しい補助金の申請もして、どうにか営業を続けようとしています。しかし、インボイス制度がその努力を台無しにしてしまう」とマイクで訴え。
駅でマルシェを出していたお店の人たちや、客を待つタクシーの運転手が駆け寄ってきて「署名させて」「頑張ってね」と署名をしてくれました。
参加者は「やっぱり街に出てアピールすることは大事だね」と感想を話していました。
岐阜県婦協 消費税を5%に
岐阜県婦協は9月28日と10月2日、インボイス中止の街頭宣伝を行いました。2日は、名鉄岐阜駅前と岐阜市のイオン前で宣伝。子どもを含め延べ31人が参加し、オレンジ色の法被を着て、プラカードや横断幕、花を掲げてにぎやかにアピールしました。
県婦協の福井まり子会長や全婦協会長も務める塚田豊子副会長、山田和子事務局員がマイクを握り、インボイスの影響を訴え、中止を求めました。塚田副会長は「消費税が10%に増税され、コロナ危機が襲った。消費者も中小業者も苦しい状態にある。そんな中、1日にインボイスの登録受け付けが始まった。私の事務所に出入りする業者も、『インボイスが実施されたら、どうなるか不安』と口にしています。インボイスは中止し、消費税を今すぐ5%にしてください」と訴え。
久しぶりの宣伝に、参加した婦人部員は「元気をもらった」と笑顔を見せました。
京婦協 コロナと二重苦
「インボイスは中止に!」「コロナ支援の拡充を!」「消費税10%もう限界!」―。京婦協は3日、京都市内の四条烏丸の交差点で、インボイス中止を求めるスタンディング宣伝を実施。20人がプラカードを掲げ、道行く人にアピールしました。
京婦協の十河恵美子会長と望月照子副会長がマイクを握り、力強く訴え。望月さんは「消費税率が10%になってから、仕事の量も減少し、コロナ禍で一段と仕事がなくなった。私たち製造業者には、支援もない。そのうえ、インボイスで悩まされている。私たちは、商売を続けたい」。
人出は多く「インボイスって何ですか?」と聞いてくる人もいるなど、注目を集めた宣伝となりました。
南福岡民商 取引排除の危機
南福岡民商は1日、福岡市博多区の音羽公園で開催された「10・1怒りの県民集会」に、婦人部の小松友子部長や役員の久保田政恵さん、前田洋子さん、事務局員ら9人が参加し、プラカードを掲げ、インボイス中止をアピール。
「不平等な消費税は、即刻廃止!」「免税業者を取引から除外するインボイス制度なんてもってのほか!」と怒りの声を上げました。
大分民商婦人部・大分県婦協 あなたにも関係
大分民商婦人部と大分県婦協は1日、インボイス中止のスタンディング宣伝を実施。大分民商会館前で、「インボイス中止!消費税5%に」「コロナ支援の拡充を」のプラカードを9人が掲げ、信号待ちの車などにアピールしました。ウーバーイーツの配達員に「あなたも関係あるよー」と声掛けもしながら、元気な宣伝となりました。
婦人部の渡邉理恵副部長は「宣伝物もカラフルで、とても目立って、いいアピールができた。インボイスは、まだまだ知られていない。これからも自分たちにできることを取り組んでいきたい」と述べていました。
婦人部は9月24日、消費税をなくす大分の会の宣伝に役員4人が参加。インボイス発行事業者の登録申請が始まる1日を前に、消費税減税のアピールと合わせて、抗議の声を上げました。初参加の阿南智子副部長は「自分たちの声を届ける行動ができて、楽しかった。また参加したい」と話していました。
仙台民商 政権が変われば
仙台民商は1日、消費税減税とインボイス制度廃止を求めて、事務所前でスタンディング宣伝を実施。14人が参加しました。
三戸部尚一会長が「野党共闘で政権が変われば、消費税は減税できます」と訴えると、通行人から「頑張ってね」と大きく手を振られる場面も。
スタンディングの後は、婦人部が用意した温かい豚汁で、冷えた体をポカポカにしました。総選挙勝利に向け、決意みなぎるスタンディングとなりました。
京商連 税務署申し入れ
京商連はインボイスの登録申請が始まった1日に、民商と各界連で府内の税務署に実施中止の一斉申し入れと宣伝行動を」と呼び掛けました。
京商連は初めて、近畿財務局・京都財務事務所に、久保田憲一会長が「コロナ禍の下で中小業者はインボイスの準備どころではありません。消費税減税とインボイス実施中止を」と申し入れ。その後、宣伝カーで京都市内一円を回りました。
上京税務署には同日、北民商と上京民商が合同で申し入れ、その後、税務署前で「インボイス実施中止」を訴えました。総務係長が宣伝の間、メモを取り、宣伝を聞いていました。
出版、フリーランスも連帯 ツイッターデモ
ツイッターデモにも怒りの声が寄せられました。
「企業の打ち合わせに使われるような喫茶店や飲食店、小売業は、インボイスを出せるように、売り上げが少なくても課税事業者になる道を選択するか、お客さんが減って廃業するかということになってしまう。#インボイス反対」とツイートしたのは、都内で出版社を経営するTさん。課税事業者です。「私が担当する執筆者は、売り上げが1千万円を超える人はいない。初めて本を出版するという人もいる。『課税事業者になってください』とも言えず、その分の消費税を負担しなければならない」と頭を抱えます。フリーランスのデザイナーとも一緒に仕事をしますが、「制度のことが知られていない」と危機感を感じています。
デザイナーにインボイス制度の仕組みを話したところ、「消費税分を値引きしてもらっていいですよ」と言われました。
「でも、そんなことをしてもいいのかと思ってしまう。インボイスは事業者に消費税を押し付け合い、分断させる制度。やめてほしい」
茨城県で書店を経営するFさんは「#インボイス反対2年、3年後も、小商いを続けたいです」とツイート。「地域の子育て世代のママや子どもたちが自転車などで行ける本屋があれば」との思いから5年前に店をオープンさせました。「おはなしかい」などを企画し、店は地域の人たちの憩いの場になっています。
消費税が8%から10%に引き上がった時、インボイス制度の問題を知りました。Fさんは免税事業者。「絵本を買ってくれるのは個人だけど、団体や企業から大口の注文が入った時は、インボイスを発行しなければならないでしょう?でも、課税事業者になって消費税を負担するなんて、とてもできない。小さな店はつぶれてしまう」と怒っています。
「総選挙では野党が消費税引き下げやインボイス制度の延期・中止を公約に掲げているので、周囲の人やお客さんたちに選挙の話をしていきます」