56条廃止や補助金など民商の値打ちを広げて
業者婦人の多彩な要求運動と組織建設で「ジェンダー平等を求める女性の共同にも貢献」してきた全商連婦人部協議会(全婦協)。この10年で、業者婦人などの働き分を認めない「所得税法第56条廃止を求める意見書」を採択した自治体は248増えて557に(9月18日時点)。全商連青年部協議会(全青協)は、2015年の結成40周年の「全青協ウエルカム」企画と2回の「民商サクセション」企画などで「中小業者として生きる力を培う民商運動の値打ち」を広げてきました。
「56条廃止を求める意見書採択が広がったのは、国連女性差別撤廃委員会の勧告が大きかった」―。こう指摘するのは、全婦協の塚田豊子会長です。
国連女性差別撤廃委員会は2016年3月7日、日本政府に所得税法の見直しを勧告しました。塚田会長(当時は会計)は、スイス・ジュネーブで開かれたこの時の会議を傍聴。「出席国の多くは、家族従事者の働き分が認められるのは当たり前。当初は、日本の所得税法56条の意味がよく分からない委員もいたので、休憩時間に解説文書と折り鶴を配って理解を求めました。委員は日本の業者婦人の声を質問に反映させ、日本政府に迫ってくれた」と振り返ります。
「この勧告以降、日本弁護士連合会が所得税法第56条と57条の見直しを求める意見書を国に提出したり、各地での意見書採択が相次ぎました。この間の市民と野党の共闘の広がりも大きな力になっています。さらに採択自治体を増やし、必ず廃止に追い込みたい」
全婦協は、労働の対価が正当に評価されない56条は「個人の尊厳と両性の平等(憲法13条、14条)」に反するジェンダー問題と捉え共感を広げています。
全婦協は今年2月9日には「コロナ禍のジェンダー格差是正に向けた国政懇談会」をオンラインで開催。「コロナ禍に誰一人取り残さない」と業者婦人が抱える苦難を、立憲野党の女性国会議員に訴えました。議員の共感や激励を受けて「女性の力強さを感じた」などと好評で、女性たちの共同で政治を変える流れをつくる契機となりました。
全青協は、中小業者の先輩として幾多の苦難を乗り越え、長年、生き抜いてきた民商役員から「商売・人生・民商」を語ってもらう「ウエルカム企画」(15年)、「サクセション(継承)企画」(17年、19年)を実施。連続して取り組んだ県連で、青年部員を大きく増やしました。
「商売を伸ばしたい」という業者青年の経営意欲に応える活動を旺盛に進め、「法人のメリット・デメリット」「SWOT分析」「補助金獲得のための事業計画書作り」「SNS活用講座」などを各地で開催。全青協や青年部の役員らが先頭に立って、持続化補助金100万円などを獲得し、その経験を青年部員らに伝える学習会を行い、補助金獲得に挑戦する業者青年を広げました。2年に1回開かれる全国業者青年交流会は、業者青年の関心にかみ合った多彩な企画で出会いを広げ、「業者青年に魅力ある民商建設」を進める画期となりました。
コロナ禍でも、「何とかして、商売を続けたい」という要求に応え、「支援制度活用フローチャート」を作成、普及。「持続化補助金獲得」「コロナ禍を生き抜く商売・営業・経営を考える」をテーマにしたオンライン学習会もいち早く開催し、協力して生き抜くすべを磨いてきました。この間、各地の民商が旺盛に行った持続化・家賃支援の両給付金の申請相談でも、スマホやパソコンが得意な業者青年が申請をサポートし喜ばれました。
業者青年の要求を中央省庁にぶつける要請行動も、ほぼ毎年実施。「全国業者青年実態調査」(11年、17年)、「全国業者青年コロナ影響アンケート」(21年)は、内外の業者青年との対話にも活用され、業者青年の独自施策拡充を求める大きな力になりました。