岩手・一関民主商工会(民商)は9月10日、一関市商工労働部と懇談し、菊地七郎副会長=建築=ら5人が参加。コロナ禍で困窮する業者に背を向け、大企業の工場跡地購入に固執する姿勢を批判し、支援策拡充を求めました。菅原恵美次長ら3人が応対し、民商が要請してきた業者への家賃補助制度を近く創設すると回答。後日、感染対策を講じた飲食店への10万円補助などの実施も明らかにしました。いずれも民商が要請していた施策です。
民商は6月、コロナ禍の業者の実態を市に伝えるため、会内外を対象に「第6回実態調査」を実施。「一律の現金給付、家賃補助などが必要」との声が多数寄せられました。結果を基に7月28日、市と交渉。応対した商工労働部長に、全44ページの「地場中小業者・実態調査報告書」を手渡し、支援拡充を訴えました。
ところが市は8月19日、「業者への追加支援は行わない」との回答書を送ってきました。民商は市に再交渉を求め、17項目の要請書を事前に送り、懇談が実現したものです。
懇談の冒頭、菊地副会長が「コロナ禍で市内の業者は大変な状況だが、支援が乏しく、廃業する業者も続出している。この事実に向き合い、支援を強めてほしい」と述べました。山口伸事務局長が要請趣旨を説明し、2019年3月にNECが撤退・閉鎖した工場跡地を、市が20億円で購入しようとしていることを批判。「地元業者より大企業の廃工場の方が大事ということか」と抗議しました。
参加者は「市は44億円のため込みがあると報道された。廃工場を購入する余裕があるのに、業者への支援を拒む理由は?」「市内の建設需要が落ち込み、リフォーム助成が必要なのに、なぜ1カ月で募集を打ち切ったのか」「コロナに感染した事業主に国民健康保険の傷病手当を」などと次々と発言。
菅原次長は「プレミアム商品券やキャッシュレス決済の支援をやっている」「担当外なので…」と繰り返しました。「市が業者の実態を調査しているのなら、その結果を公表すべき」と厳しく指摘すると、菅原次長は「家賃補助制度を近く創設することにした」と回答しました。
菊地副会長は「回答書では『やらない』としていたものが『やる』と一転した。民商のたたかいの成果だ。これで仲間の営業が少しでも楽になれば、うれしい。さらに支援制度をつくらせるため、交渉を続けたい」と話していました。