命を守るために政治の転換を―。「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)は8日、参院議員会館で、立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組の野党4党首と「衆議院総選挙における野党共通政策の提言」(別項)に合意しました。
市民連合の運営委員で法政大学の山口二郎教授は、野党共通政策の合意を「日本の民主主義を回復する貴重な一歩だ」と強調しました。
立憲民主党の枝野幸男代表は「コロナで治療を受けられなかったり、自ら死を選ぶなど国民の命が奪われている危機的状況を根本から立て直すため、本当に網羅的で重要なテーマについて合意できた。共に掲げる共通政策で一致して、党としての違いを認め合いながら、持っている強みを生かし衆院選をたたかえば、必ず政治を変えられる」と述べました。
共産党の志位和夫委員長は「市民と野党の総選挙をたたかう共通の政策的旗印が立派に立った。今度の総選挙は、9年間に及ぶ安倍・菅自公政治に対するチェンジの審判を下す選挙だ。この政策を高く掲げ、野党が結束して選挙をたたかい、新しい政権をつくるために頑張り抜く」と決意を表明しました。
社民党の福島みずほ党首は「この6項目は、希望の政治を取り戻す提言。共闘して頑張りぬきたい」と述べ、れいわ新選組の山本太郎代表は「消費税5%が必要と言い続けてきた。それも形にした上でスタートを切ることができた。力を合わせて頑張っていきたい」と語りました。
【別項】衆議院総選挙における野党共通政策の提言 ――命を守るために政治の転換を――
新型コロナウイルスの感染の急拡大の中で、自公政権の統治能力の喪失は明らかとなっている。政策の破綻は、安倍、菅政権の9年間で情報を隠蔽し、理性的な対話を拒絶してきたことの帰結である。この秋に行われる衆議院総選挙で野党協力を広げ、自公政権を倒し、新しい政治を実現することは、日本の世の中に道理と正義を回復するとともに、市民の命を守るために不可欠である。
市民連合は、野党各党に次の諸政策を共有して戦い、下記の政策を実行する政権の実現をめざすことを求める。
1 憲法に基づく政治の回復
・安保法制、特定秘密保護法、共謀罪法などの法律の違憲部分を廃止し、コロナ禍に乗じた憲法改悪に反対する。
・平和憲法の精神に基づき、総合的な安全保障の手段を追求し、アジアにおける平和の創出のためにあらゆる外交努力を行う。
・核兵器禁止条約の批准をめざし、まずは締約国会議へのオブザーバー参加に向け努力する。
・地元合意もなく、環境を破壊する沖縄辺野古での新基地建設を中止する。
2 科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化
・従来の医療費削減政策を転換し、医療・公衆衛生の整備を迅速に進める。
・医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの待遇改善を急ぐ。
・コロナ禍による倒産、失業などの打撃を受けた人や企業を救うため、万全の財政支援を行う。
3 格差と貧困を是正する
・最低賃金の引き上げや非正規雇用・フリーランスの処遇改善により、ワーキングプアをなくす。
・誰もが人間らしい生活を送れるよう、住宅、教育、医療、保育、介護について公的支援を拡充し、子育て世代や若者への社会的投資の充実を図る。
・所得、法人、資産の税制、および社会保険料負担を見直し、消費税減税を行い、富裕層の負担を強化するなど公平な税制を実現し、また低所得層や中間層への再分配を強化する。
4 地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行
・再生可能エネルギーの拡充により、石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素社会を追求する。
・エネルギー転換を軸としたイノベーションと地域における新たな産業を育成する。
・自然災害から命とくらしを守る政治の実現。
・農林水産業への支援を強め、食料安全保障を確保する。
5 ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現
・ジェンダー、人種、年齢、障がいなどによる差別を許さないために選択的夫婦別姓制度やLGBT平等法などを成立させるとともに、女性に対する性暴力根絶に向けた法整備を進める。
・ジェンダー平等をめざす視点から家族制度、雇用制度などに関する法律を見直すとともに、保育、教育、介護などの対人サービスへの公的支援を拡充する。
・政治をはじめとした意思決定の場における女性の過少代表を解消するため、議員間男女同数化(パリテ)を推進する。
6 権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する
・森友・加計問題、桜を見る会疑惑など、安倍、菅政権の下で起きた権力私物化の疑惑について、真相究明を行う。
・日本学術会議の会員を同会議の推薦通りに任命する。
・内閣人事局のあり方を見直し、公正な公務員人事を確立する。