国の来年度(2022年度)予算編成の基礎となる各省庁からの概算要求が出されました。要求総額は過去最高額となる111兆円を超えました。
新型コロナ対策で増えた部分もありますが、批判があるデジタル庁の予算や大企業優遇の政策も目立ちます。各省庁のコロナ対策は、経済産業省の中小企業支援をはじめ、予算額を未定とするものも多く、実際の予算額はさらに増える可能性があります。
こうした中、突出しているのが軍事費(防衛予算)です。防衛省の概算要求額は5兆4797億円で、過去最大だった前年度予算を超え、8年連続の増額が狙われています。
大きく増えたのは、過去の契約の支払いに計上される歳出化経費です。米国製兵器の爆買いなどにより、2兆2517億円と前年比10・5%増となりました。内訳はF35Aステルス戦闘機8機、実質は空母である「護衛艦いずも」などから発着可能なF35B戦闘機4機などを前年から倍増させています。
また、最先端の技術を進める研究開発費も前年比3割増となる3257億円と過去最高を要求しました。導入を断念した「イージス・アショア」の代替となる「イージスシステム搭載艦」は1兆円規模となるため見送られますが、仕様変更の経費などが計上されています。
安倍政権が2013年に決定した「中期防衛力整備計画」では、「節度ある防衛力整備」との文言が削除され、自公政権は軍事費のGDP比1%枠も投げ捨てようとしています。
際限のない軍拡は、中国との覇権争いを激化させる米国の軍事戦略に追随し、戦争に加担するものであり、日本が核戦争に巻き込まれる可能性さえ指摘されています。
今、コロナ禍で世界の人々の共通の思いは「軍備で人の命は守れない」です。中小企業対策費は1700億円程度、一般歳出全体に占める割合は0・3%に満たない状況です。
私たちが要求してきた「軍事費を削ってくらし、福祉、教育に回せ」「中小企業予算の抜本的な拡充」の声を上げ、総選挙で政権与党に明確な審判を下しましょう。