菅政権で初めての「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)が18日、閣議決定されました。「感染症の克服とポストコロナのビジョン」が総論ですが、その冒頭で昨年来のコロナ禍に、国民の命と暮らし、雇用を守る「万全の対応」を行ってきたと自賛してみせました。国民・中小業者の不安も苦難も、休業補償が縮小・改悪され続けることへの憤りさえも、まるで分かっていません。「人災」をかたくなに認めず、傲岸不遜な態度を続ける政権の姿が鮮明です。
第3章「感染症で顕在化した課題等を克服する経済・財政一体改革」の狙いはコロナ収束後の新自由主義強化です。
「社会保障改革」では、感染症患者の受け入れ選定の対応に触れたものの、「政令市にさえ一つ」となった保健所の統廃合への反省はありません。感染症対応とそれ以外での医療の役割分担ですが、公立・公的病院への病床削減の強要を正当化し、医療機関の経営支援も感染症患者を受け入れた場合に限る姿勢を崩していません。医療専門職の人材確保へ、看護師の登録や復職を促していますが、ケア労働の待遇改善を図る視点は皆無です。列挙されるのは、予防・健康サービスでの包括的な民間委託や、医薬品の保険給付範囲の見直しなど、大企業の「儲け口」を広げるメニューばかり。結局は、社会保障の財源を「自助」と「共助」に求める「全世代型社会保障」がうたわれ、「保険料賦課限度額の引上げ」や「生活保護受給者の国保及び後期高齢者医療制度への加入」も提起されています。
今回の骨太の方針が、半導体等のサプライチェーンなどでアメリカとの連携を打ち出し、防衛力の大幅な強化を表明したことも見逃せません。米中の覇権争いに、対米追随の経済軍事化で対処するのでは緊張緩和の力にもなりません。日本国憲法を生かす経済財政と国連憲章に基づく平和外交こそ大切です。
骨太の方針では、まともに触れていませんが、これまで課税を逃れてきた多国籍大企業に、応分の負担を求める潮流が生まれていることは重要です。日本の消費税に相当する付加価値税の減税が広がっている事実も知らせ、「税の在り方と使い道を正す運動」を広げましょう。