木材価格の高騰が続き、「住宅建設に必要な資材が確保できず、見積もりが出せない」「工期が守れない」など、工務店などから悲鳴が上がっています。コロナ禍で米国で活発な住宅着工が起こっていることやコンテナ不足などさまざまな要因が重なり、世界的な木材不足が起きているためです。業界では「ウッドショック」と呼ばれます。
全国商工団体連合会(全商連)は5月27日、国会内で国土交通省と林野庁から木材価格高騰の背景などの説明を受けるとともに、対策への要望を伝えました。
林野庁は、「米国ではコロナ禍による在宅需要の増加と住宅ローンの低金利を背景に、昨年6月から住宅着工戸数が急増。中国でもコロナ禍からの経済回復に伴い木材需要が拡大するなど、世界的な需要拡大の動きが出ており、輸入木材の価格が上昇。その流れで、国産材の引き合いも強くなっている」などと背景を説明。関係団体との情報交換を行うとともに、安定的な供給への努力を要請していると述べました。
国土交通省は、「国産材へシフトをしていく契機でもあるので支援も検討していきたい」と表明しました。
国内の木材自給率(総量)は2019年時点で約38%で、約6割を輸入に依存しています。
材木商組合などによると梁や桁、柱などに使われる外国産木材の輸入が滞る中、輸入材の国内流通量は従来比で3割減、価格はおおむね5割上昇しており、国産材も3~5割近く値上がりが見られます。
問屋から入らず 見積もり出せず
長野県飯田民商のAさん(工務店)は「米松の桁や垂木が思うように手に入らない。問屋も見積もりが出せないと言う。このままでは図面を書いても、施主に見積もりが出せない」と話します。
埼玉県飯能民商会員のSさん(家具店)は「建材屋から、ラワンベニヤなど全ての単価を来月から1割上げたいと連絡があった」と話します。
「コロナがどう影響しているかは分からないが、外材が入らないと、注文に応えられない。輸入物は安いが、20年もすれば、取り替えが必要になる。飯能は8割が山林で『西川材』で知られる。資源は豊富なのに手入れがされていない山も目立つ。国産材はコストが合わず、なかなか使われないが、資源循環がうまく回るので、地元材がもっと使えるようになればいいのだが…」と述べます。
全商連は国に対し、「大手住宅メーカーは木材確保へ、まとめ買いに動いていたりするので、売り惜しみや便乗値上げ、投機的な行為などが起きないよう、監視や指導を強めてもらいたい。資金繰り支援の強化も必要」と要望。1日には、オンラインで、関係者から実態や要望の聞き取りも実施。関係省庁などに、必要な要望等を行うことにしています。