全国商工団体連合会(全商連)も加盟する中央社会保障推進協議会(中央社保協)は3月16日、国会内で厚生労働省に申し入れ、単身で年収200万円以上などの75歳以上の医療費2割負担などを盛り込んだ、健康保険法等の一部「改正」案の見直しを求めました。
改正について、省側は「75歳以上の窓口負担2割化の目的は、現役世代の負担を軽減するため。全世代で、それぞれの負担能力に応じて負担をお願いする」と回答。参加者は「高齢者の生活は厳しい。アンケート調査では、『医療費が負担増になったら、通院回数を減らしたり、服薬を調整したりする』という回答が多く、受診抑制が広がる可能性がある」と指摘しましたが、「施行後3年間は、月額3千円を上限とする緩和措置を設けている」などの回答に終始しました。
「改正」案に、都道府県が2年ごとに作成する「国民健康保険(国保)運営方針」で、国保料・税の値上げへ誘導する保険料水準の統一化や、法定外繰り入れ解消などが盛り込まれていることについて「強制するものではないが、国保運営方針に盛り込むようにお願いしている。(国保運営方針に)記載しないことへのペナルティーはないが、『保険者努力支援制度』の判定に差が出る」と答え、法定外繰り入れを行う市区町村や、繰り入れ削減・解消を指導しない都道府県の交付金を減額する姿勢をあらためて示しました。
国保料・税のコロナ特例減免が、2021年度分も継続されることを歓迎しつつも、減免基準が「20年の収入から30%以上減少した場合」になっていることを指摘し、「20年はすでにコロナ禍の影響で収入が減少している人が多いので、19年の収入と比較して判断してほしい」と要望。しかし、担当者は「21年分の保険料は20年分の収入を基にして算出されるため、収入減少に伴って保険料も下がっているので、負担は低いと考える」と答え、要望に背を向けました。
保険者努力支援制度
都道府県と市町村の法定外繰り入れの解消や「医療費削減の取り組みを政府が採点し、“成績の良い自治体”に予算を重点配分する制度。2018年に創設されました。厚労省は、法定外繰り入れは「自治体の判断でできる」と国会で答弁していましたが、実際は、都道府県や市区町村への交付金削減の圧力を強め、誘導しています。