確定申告のワンポイントアドバイス(12)白色申告と青色申告|全国商工新聞

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 確定申告には、白色申告と青色申告の二つの方法があります。白色申告が原則的な方法であり、青色申告は「記帳の水準を高めるため」という目的で導入されました。青色申告を推奨するための見返りとしての特典(表1)があり、特に大きな特典が55万円の特別控除です(e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を行うと特別控除は65万円)。なお、期限内申告が条件であり、期限後申告になると特別控除は10万円になるので注意してください。

 青色申告を選択するための二つの要件を説明します。
 一つは選択する年の3月15日までに、青色申告承認申請書を税務署長に提出し、承認を受ける必要があります。新規開業や相続などの場合を除き、3月16日以降に、その年分の青色申告を選択することはできません。
 もう一つは帳簿を備え付けて記録し保存することです。帳簿の保存は白色申告の場合も必要とされましたが、青色申告で55万円の特別控除を受ける場合は、複式簿記の方法で記帳し、貸借対照表と損益計算書の作成が必要です。なお、複式簿記によらず、事業に関する取引を記載した現金出納帳や売掛帳、経費帳などの簡易な記帳も可能ですが、その場合の特別控除は10万円となります(表2)。

 また、消費税の申告をする人は、帳簿に取引の日付・相手先・金額・取引内容などの記載が必要な上に、帳簿と併せて請求書等の保存も必要となります。ちなみに、簡易課税制度を選択した場合は帳簿の記載要件や請求書等の保存が不要で、売上高の把握のみで納税額が計算でき、本来よりも税額が少なくなるケースもあるので、一度検討してみるとよいでしょう。
 最近、政府税制調査会で「白色申告している方で調査対象となった方の多くが記帳不備である」との報告がされたようです。調査対象者だけを見て記帳不備を指摘するのはおかしな話です。白色申告で整然と記帳している納税者はたくさんいます。
 青色申告は特別控除の他、適正な金額の範囲内で家族に支払った給与を経費にできるなど特典がある制度です。しかし、その分、事前準備や記帳、確定申告の際の添付書類の作成などで事務負担が増えます。
 どちらの申告方法をとるかは、事務負担なども考慮して慎重に判断しましょう。


 >> 確定申告のワンポイントアドバイス(13)申告書を提出した後の対応

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